第2話
ペルと一緒に出口まで来たレイ。
「やっとたどり着いたねペル」
「そうですね。マスター」
そんな2人の会話に割り込んでくる人影が現れた。
「おにい様、おかえりなさい。とても心配でした。如何でしたか?」
と少し不安そうな顔をするエリー。
「うん、無事契約できたよ。この子と! 剣精霊のペルだよ」
と横にいるペルの頭をなでるレイ。
「くすぐったいですよ、マスター。エリー様ですか? よろしくお願いします。私は剣精霊のペルセフォネ。ペルとお呼びください」
「わかったわペル。私はお兄様の妹のエリー。私のこともエリーって読んでくださいまし。でもベルが人型の精霊って事は高位精霊なのですか?」
と疑問をぶつけるエリー
「それがわからないんだ。ペルは自分の名前すら覚えてなくて……」
とすこし暗い顔をするレイ。
「そーなのですか?ならおにい様がお名前をつけてあげたのですか?」
「うん、そ〜なんだ。なんか、びびっと来たんだ」
と胸をはるレイ
「そーなのですか。良いお名前だと思います」
「私も気に入っています。マスターありがとうございました」
「良かった。気に入ってくれて僕も嬉しいよ。そんな事よりとりあえず屋敷に帰ろう」
「「はい」」
2人の返事と同時にレイたち一行は、家に向かって歩き出した。
「おにい様、これでお父様に認めて貰えますね」
「そうだと良いんだけど……」
少し暗い面持ちなレイ。
たわいもない話をしながらしばらく歩くと、とても高い塀が見えてきた。
「見えてきましたよ。おにい様、ペル」
とてもウキウキしているエリー。
「そうだな、エリー!。ペル、ここが僕たちが住んでいる都市エルダンテだよ。ひとまず門まで行こう」
「はいっ」
門まで辿り着いたレイたち一行。
「そこの者たち止まれ。身分証を呈示せよ」
門番はとても高圧的な態度を取る男だった。
それに対しレイは
「はい、どうぞ」
エリーは
「こちらでございます」
と身分証を提示する。
「うむ、ランベルト家の落ちこぼれと、エリー様?!?! これは大変失礼しました」
急に慌てだす門番。
別に権力とか興味ないけど僕も一応四大貴族なんだけどなぁ……
そんなレイの気持ちを知ってか知らずが門番が話を進める。
「ところでそちらの女性は?」
「彼女は僕の精霊です。」
「な、なに!、人型の精霊だと?まさか神話級の精霊なのか?」
と、驚愕を露わにする門番。
「いえ、本人が記憶を失っているので何とも言えません」
「わかりません」
とそれぞれ答えるレイとペル。
「そうか、、、まあよかろう入りたまえ」
と促す門番。
門をくぐって町に入っていく一行であった。
門の中には家々が広がっていた。
「マスターー、すごいです。建物が沢山広がっています」
ビックリしてあたふたしているペル。
「そうか? 王都はもっとすごいぞ」
「そーなのですか?今度連れていってください」
「うん、今度ね。とりあえず僕達の家まで行こう」
3人は歩を進める。
しばらく歩いているととても大きなお屋敷が見えてきた。
「これがランベルト家です」
指を指しながら言うレイ。
「とりあえずお父様のところへ行こう」
大きな扉の前まで来た3人。
「では、ノックするぞ」
頷いて返事をするエリーとベル。
コンコン「レイです」
「入れ!」中から返事が聞こえる
扉を開けるレイ。
「失礼します。ただいま精霊使いの儀より戻りました」
「そうか、とりあえずそこの椅子に座れ」
「はい」
勧められるまま椅子に腰をかける3人。
「ご苦労、しかしまぁお前のことだ下級精霊か何かと契約したんだろう?」
レイを蔑みながら話を始めるレイの父親。
「こちらが僕が契約した精霊のペルです」
ベルを指差しながら話すレイ。
「先程から何者かと思ってはいたが……。そうか……人型……神話級精霊なのか?」
少し慌てている様子なレイの父親。
それに対しレイは
「いえ、本人の記憶がないのでなんとも言えません」
「そうか……そういえば自己紹介がまだでしたね。精霊様。そこにいる出来損ないとエリーの父親のレオ=ランベルトと申します。どうぞ良しなに」
手を差し出しながら言うレオ。
しかしペルは、
「お前になど興味は無い。失せろ」
といつものペルからは想像もつかないような態度をとる。
レイとエリーですらビックリしている。
「な、なんだと。こちらが下手に出てるのをいいことに。このような無礼な物が神話級精霊なわけが無い。やはり、所詮出来損ないの精霊も出来損ないか……」
落胆したかと思うと、すぐ何かを考え出した様子のペルレオ。
すると急に、
「よし……今これよりをもってレイ=ランベルトをランベルト家から追放する。以後ランベルト家を名乗ることを禁止する」
淡々としているレオ。
「な、何故ですか?お父様?そんなまだベルの正体も分からないのに……何故?なんでこんな急に……」
少し狂乱してる様子のエリー。
一方レイは、
「そうですか。かしこまりました。では本日中には出ていきますので」
とまるで家族に捨てられたばかりとは思えないほど淡々としているレイ
やはり2人は家族だ。と密かに考えていたエリー。
「では失礼します。行こうペル」
椅子から立ち上がり手招きするレイ。
「はい、マスター」
とても嬉しそうなペル
「おにい様……おにい様にとってこの家を出ていくほうが幸せに繋がるということは重々承知しております。しかし、しかし……」
今にも泣きそうなエリー。
「大丈夫、僕達の関係が壊れるわけじゃないよ。これからもエリーは僕の大事な妹だよ。」
エリーの頭を撫でるレイ。
「ありがとうございます。おにい様。行ってらっしゃいませ」
涙をこらえているのがバレバレなエリーのくしゃくしゃな顔。
「行ってくる」
そして翌日、レイは最小限の荷物をもってペルと一緒にランベルト家をあとにしたのだった。
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