第17話 龍の子太郎

 竜太郎 竜太郎 俺は龍の子 太郎


 ある日、ババアがほざいたぜ

 俺のマザーは龍なんだとさ


 だからって、大きくなったら、田んぼに邪魔なクソデカい岩を退かしてくれと


 他力本願極まりねぇぜ


 てか…俺ってそのために育てられたんか?


 愛は無い 親も無い 金も無い 持っているのは他人の期待だけ


 大きくなったら、龍に会いに行けだとさ


 会ったらマザーだよ~って…信じられるか!


 でも、後ろの視線が痛いから、頼んでみたぜマザーに

 岩を退かしてくれってね。


 だってマザーは龍だから…めっちゃデカい龍だから…ムッキムキの腕だから…


 マザーあっさりOKって


 筋肉唸らせて…岩を抱えて…フーンッて砕いた


 飛び散る岩石…爆心地にいたマザーのデカい目にグサッてね…


 親指立ててGOO!ってしてるけど…目からドボドボ赤い血が…

 止まらねぇぜ赤い血が…湖、真っ赤に染め上げた


 やりすぎちゃった…テヘペロって真っ赤な長い舌だされても…可愛くねえし…怖ぇし…


 マザーはそのまま天に飛び去った…。


「えっ…俺は…どうなるの?」

 血が流れ込む田んぼにガッカリした村人の視線が痛いぜ…マイマザー。

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