第262話 グレン様ほぎゃあ事件




※201話裏話





その当時、魔法協会の中でも特にヤバイ案件があった。



吸血鬼の王 ドラクロア の討伐だ。



古城に住み着いたドラクロワとその無数の部下たちは勢力を拡大しており

近隣諸国と村々に多大な被害を及ぼしていた。



魔法協会の遠征部隊を率いるグレンは悩む。




戦闘か?撤退か?




正直、ドラクロワの勢力は想定以上だ。

それを束ねるドラクロワは、もしかしたら七賢人並みの力を有しているかもしれない。



「グレン様!」


「なんだ?」


「ミヅチが通過した街のギャンブルで大負けして、鎧と服を失ったらしいのですが」



また、あいつか・・・


「そんな奴は、フルチンのままでかまわん」




グレンは考える。

その考えは独り言ととしてブツブツ外に漏れている。



戦闘か?撤退か?



撤退は悪ではない、臆病でもない、確実に勝てる戦いをするのが優れた指揮官だ。

別に、ビビってるわけじゃないし・・・本当だ。




・・・




こんな時



サリア姉が居れば



・・・ッ



弱気になってどうする。

いつまでもサリア姉に泣きついてばかりではいかん。


今は俺が・・・魔法協会をみちびかねば・・・ならないんだ。




「グレン様ー!」



「どうした?」



「ミヅチが単独でドラクロワの城へ乗り込んでいきました」


「え、あいつ、鎧を無くしたんじゃなかったか?」



「おそらく、防具無しかと」



「馬鹿なの、あいつ馬鹿なのか」




・・・





戦闘か?撤退か?





正直、ミヅチがどうなろうとどうでもいいし、

自己責任な気もする・・・



だが、


だが・・・



「・・・ドラクロワの城へ仕掛けるぞ、総員戦闘準備!」



にわかに慌ただしくなる。

皆の顔に不安の色が見て取れた。



「安心しろ、ひさびさに・・・俺の七賢人としての本気を見せてやる」



手から溢れる火、決意の目



「グレン様行きましょう!」

「おっしゃー!!」



グレンの言葉に士気を上げる部隊。




「グレン様ーーーー!!」




今度はなんだ!?




「・・・マヅチが・・・ドラクロワを・・・単独撃破したとの・・・一報がトウカゲ様から・・・」




は?



何?どうやって?



・・・


「ほぎゃああああ」


グレンは、驚きのあまり そう叫んで 泡を吹いて倒れた。






$$$






「これが『グレン様ほぎゃあ事件』・・・結構有名」



テツィはお酒を飲みながらウツロに話す。


(指揮官って大変なんだな)


ウツロは、気の毒になった。



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