第69話【過去編】ミレスの夢とかゆみ風切り




ミレスは夢を見る。





大きな大きな骸骨の魔導士・・・

下半身は無く、上半身だけで宙に浮かぶ・・・

ラグベールの城が崩壊してく・・・

灰色の煙でたくさんの人が死に絶えていく・・・


私は恐ろしさのあまり動くことすらままならない・・・



誰かが奴の前に立ちはだかる。



誰だ?・・・



あれは・・・毎日夕食を持ってきてくれるヒト・・・




・・・・




ミレスは目を覚ます。

汗をびっしょりかいていた。

寒気のする恐ろしい夢だった。



ミレスは部屋の水を飲んで落ち着く。感情を無くしてからというもの、夢を見ること自体珍しかった。しかも、こんなにもはっきり覚えているなんて・・・



魔力が高い者はまれに『予知夢』なるものを見ると教わったことがある・・・まさかあれが予知夢だったんだろうか。


城が崩壊して、彼に助けられる未来が来るということか・・・


ミレスは気のせいだと思いなおした。

『彼に助けられる』ことが起きるなんて・・・

そんな日はこの国が亡びる日までやってこないだろうに・・・





$$$





最初に魔法を覚えてから1ヵ月が経過した。

ウツロは今日も必死に枝から葉っぱを落とそうと頑張っている。




ジレン「お前・・・まだそれやってたのかよ・・・」




ウツロ「・・・」

その・・・『流行遅れの遊びやってる』みたいな言い方やめろ




ウツロ「冷やかしに来るな、また風切りを食らわせるぞ・・・」

ジレン「あーそれは困るな・・・お前の『風切り』めっちゃ『かゆい』し」



少し前、

誤ってウツロの風切りがジレンの腕に当たってしまった。

ウツロは怪我を心配したが、痛みはなく・・・

ジレン曰く、『すごく かゆかった』らしい。



く・・・馬鹿にして・・・




ウツロ「今朝の修行で、『痛かゆい』くらいには成長しているはずだ・・・」

ジレン(『かゆい』は残るのかよ・・・)




ウツロはジレンの腕に風切りをヒットさせる。




ジレン「おお」





ジレン「ウツロ・・・いつもより『かゆみ』が増してるぜ・・・」

ウツロ「・・・」



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