第3話 春に

 こんなに早く、まさかの二通目が。とりあえず階段を駆け下りて、お母さんの差し出した右手から手紙を奪い取る。

 そしてすぐにまた階段を駆け上がり、自分の部屋でオモテ面に「マァちゃんへ」と書かれた白い封筒を開く。インクに染まった文章を読む。



 早速、二通目の手紙になります。もう、一通目の手紙は届いたでしょうか。届いてほしかったような、届いてほしくなかったような。そんな心境です。

 でもきっと、この手紙が読まれているとしたら、一通目の手紙も無事届いたことでしょう。そう思って書いています。


 今僕の住む星は春です。そりゃそうですよね。春は暖かさがちょうど良くて気持ちいいです。これからの春は、もう少し涼しくなっていくのでしょうか。マァちゃんと出会ったのも、春でしたね。思い出深い季節です。


 ではまた。


 星の人



 今、ワタシの星も春だけど。春に出会った? 思い出深い? 誰だろう、見当もつかないなぁ。


 間違えて送ってきてるんだろうか。その割に、住所も宛名も合ってるし。やっぱり、中学か小学校時代に知り合った誰かのイタズラ?


 少し考え込むとまた高校に遅刻しそうなことに気づいた。もうご飯抜きは嫌だから、急いで居間に行って、そのあと色々と支度を済ませた。

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