魔法使いの見る夢

彼女を見送ると、ランプに姿を変えていた魔女が姿を現した。


「ドレスからカボチャの馬車まで至れり尽くせり。あなたがいい事するなんて珍しいわね」

「あなたほどじゃないわ」


互いに皮肉を言い合うのはいつものこと。


「それに0時に解ける魔法よ。そんなんじゃ夢だって見れないわ」


彼女が消えていった暗闇の先を見ながら言う。


「あの子は夢見る女の子じゃない。夢を掴む女の子よ。あなたもそう思うでしょ?」


魔女も彼女が向かっていった先に目を向ける。

私は、どうかしらねと返すだけ。


「まぁ、魔法使いは夢を見れないからね」


……。


「だから彼女に夢を見せてあげたのかしら?」


魔女は私の心を見透かすような目でそう言った。


「……どうかしらね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る