星空の浴衣

夏祭りの夜。

二人並んでぶらり歩く。


恋人同士って訳じゃないけど、夏祭りは一緒に行くというのが毎年の恒例。中学生にもなってそんな恒例を律儀に守る必要もないけど、やめる理由も特にないので今年も一緒に屋台を巡る。


でも今年は君をまっすぐ見られない。

それは君が浴衣を着てきたから。


熨斗目花色と胆礬色の浴衣。

淡い君。


涼しげな配色なのに思わず顔が火照る。そしてつい夜空ばかりを見てしまう。


そういえばその浴衣、夜空みたい。


ポツリと言った一言に君が笑う。

「じゃあ今までずっと上を向いて星空の浴衣を見てたんだ」

そう言われて僕は初めてまっすぐ君を見た。

「その浴衣は綺麗だった?」

はにかむ君。

僕はゆっくり頷いた。


そんな夏の夜。

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