君の喜ぶ顔が見たい

「毎日メイド服しか着ませんのに……」

君の喜ぶ顔が見たかったのに、僕の贈り物が洋服なのを知った君は少し呆れてそう言った。そういえばそうだ…。

でも休日に出掛けることもあるだろう。

「ご主人様がご自分の部屋をもう少し整理整頓して頂けるのでしたら出掛ける時間もできますわ」

僕はなにも言えなくなる。痛いところを突かれた。

それでも、もう少し喜んでくれてたっていいのに。


しかしその夜、トイレに起きたら、リビングで僕の贈った服を着ながら嬉しそうに鏡を見ている君に会った。

昼間はあんなに意地悪なことを言ってたのに。だから僕もこう言ってやる。

「やあ、今からお出かけかい?」

君の喜ぶ顔が見たかったけど。照れた顔も可愛いよ。

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