吾輩は兄である

幼い妹は雷が怖い。雨雲が近づきゴロっと鳴るたびに布団に潜ったり、机の下に入ったり、僕の後ろに隠れたりしている。


10年前から飼っている妹より年上の猫は、お兄ちゃんらしく妹を心配しているようだ。いつもは妹に手荒に扱われて逃げ回ってるのに、やはりお兄ちゃんという自覚があるのだろう。

妹が潜った布団の周りを回ったり、隠れた机の下を覗きに行ったりしている。


そして怯えてる妹の頬に鼻を近づける。

するとピリッと静電気が飛んでしまった。

ついに泣きだす妹と、一目散に逃げる猫。

恐る恐る妹の様子を見ながら、今度は静電気を飛ばすまいと猫が顔を洗っている。

でもそれでは静電気が貯まる一方だし、猫が顔を洗うと雨雲は近づくばかり。

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