雑草のブーケ

泥だらけの妹が差し出したのは雑草だった。

演奏会が終わっても会いに来なかったから不安になっていたんだ。そしたらこんなに泥だらけになっていた。

いつもより酷い汚れ方だと思うのは、妹の服がせっかくの一張羅だからだろうか。怒ろうにもみんなの前では怒れないし、それに泣くのを我慢してスカートの裾をずっと握り締めている妹を見たら怒る気力も削がれてしまう。


演奏会を終えた私は皆から祝福の花束をもらっていた。

妹は自分も花を渡したいと思って探しに行ったのだろう。でも見つからず、挙句に転んでしまったのだ。


私は差し出された雑草のブーケを受け取り「誰が洗うと思ってるの?」と言いながら涙目の妹を純白のドレスのまま抱きしめた。

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