12月1日・7日
今日から十二月。部屋の中にいても凍てつくくらい寒いから、近藤先生に暖房を入れてもらった。あと、ベッド横にヒーターも。
今日早速お姉ちゃんが来て、ひざ掛けをくれた。最近買ったけど、自分には明るすぎて合わないから結花にあげるって。あたたかい陽だまりみたいなオレンジ色に、大きな黄色いひまわりの柄。もけもけで可愛い。ありがとう、お姉ちゃん。大事にするね。
騒がしくなっても大丈夫なら、今度子供たちも連れてきてくれるって。
むしろうるさい方が好きだし、久しぶりにおいっ子やめいっ子にも会いたいから、全然いいよって伝えておいた。
年が明けてからにでも、家族で来るって約束してくれた。子供たちはわたしによくなついてくれてたから、久しぶりに会えるの嬉しいなぁ。
それから、お兄さんにも。
お仕事大変じゃないかな。一家を支える大黒柱、きっと責任は重大だよね。身体こわさないでねって、言ってあげなくちゃ。
また一つ、楽しみが増えた。
お姉ちゃんにも、勿忘草を見せた。順調に、ぐんぐん伸びてる。花が咲くまでにはまだまだだけど、葉っぱも増えてきてもさもさしてる。
見てもらえるのが嬉しくて、お姉ちゃんにたくさん語ってたら、お姉ちゃんがなつかしそうに笑った。
結花ってそういうところ、だんだんおばあさんに似てきたよね、だって。
自分では分かんないけど、そうなのかなぁ。でも小さい頃からおばあさんと一緒に土いじってたから、そうかもしれないな。
北の方では、もう雪が降ったんだって。テレビはあんまりつけないんだけど、お姉ちゃんが帰ったあと、何となく無音が嫌だったから付けてみたら、ちょうどニュースでやってた。
キレイだったなぁ、雪。ふわふわしてて、やわらかそうで。
北の雪は、この辺と違ってさらさらなんだって。行ったことないから、予想でしかないけど、きっと気持ちがいいんだろうな。
さわってみたいな。
こうなってしまった以上、もう叶わない願いだけど。
◆◆◆
毎日寒いから、生田くんが風邪を引いたらしい。
お昼が終わった後、たまきさんたちと一緒に、お見舞いに行った。
生田くんのおうちは隣の社宅の一室で、実家を出て一人暮らししてるんだって。えらいなぁ。
案の定一人っきりでかわいそうだったから、みんなで手分けしておじやを作ってあげたり、ゼリーを買いに行ってあげたりした。
顔を真っ赤にして、しんどそうだったけど、わたしたちが来て安心したのかすぐに寝ちゃった。
皆さんの顔が見れただけで、元気になれそうです、だって。すっごく嬉しそうに笑ってたな。
やっぱり、誰にも会えなかったのがつらかったのかもしれないな。
わたしもその気持ちよくわかるから、なんだか放っておけなかった。
生田くんが眠ったあと、置手紙をして帰ったけど、やっぱりその日はずっと心配だった。
ただの風邪って言ってたから大丈夫だと思うけど……。
勿忘草に水をやった。
君たちはいつ見ても、元気そうでいいなぁ。今のところ害虫も見つからないし……ま、今は冬だからね。寒いから害虫も出ないのかも。
近藤先生いわく、勿忘草は寒さに強いんだって。でも、雪の重みでつぶれちゃったら嫌だな。
そのうち、雪の積もらないところに置こう。
今日は早めにお休み。
わたしも、風邪には気をつけないとね。今更だけど。
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