第427話 ティッシュペーパーで九尾なのじゃ

 ティッシュペーパーの減りが早い。

 それは何も偶然ではありません。

 そう、我が愛しき同居人、加代さんがロリ化してしまったことが原因に他なりません。


 夜の仲良しができないのなら、一人でするしかないじゃない。

 ひとりえっ〇であった。


 言ってて悲しくなるが、男というのはそういうことをしないと、牛山さんじゃなくても人事不肖に陥るモノなのだから仕方ない。


 そう、俺は別に減らそうと思って減らしているのではないのだ。

 「抜く」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は――。


「こりゃ桜!! ちゃんと聞いておるのじゃ!!」


「……はい、すみません」


 エロ動画、見ている所を見つかる気まずさよ。

 加代がバイトで居ないのを見計らい、共用のノートパソコンで動画を見ていたのだけれど、ものの見事に予定より早く帰って来た彼女に見つかりこのザマだ。


 ふふっ。

 クビになって帰ってくるのが早くなったって、そんなオチも使えるんだねフォックス。

 尻を玄関の方に向けてたから、最悪の絵面だけは避けられたフォックス。

 もしそんなことになっていたら、例の警察官にしょっぴかれても、文句言えなかったよ。


 そして、加代さんに今、俺はなんも言えないんだよ、フォックス。


 浮気のバレた男ほどの気まずさはないが、どうしようもない感じを抱えたまま、俺は加代の前で正座していた。


 はぁ、と、九尾娘の小さなため息が聞こえる。

 子供フォームに入ったため、ボリュームもちょっと控えめだが、こんなちみっこい娘に、死んだ魚のような目を向けられるというのはきっつものがあった。


 変な性癖に目覚めちゃいそう。


「のじゃ。そもそもとして、ティッシュの減りが早いなとは思っておったのじゃ」


「嘘だぁ。ちゃんと、トイレットペーパーと、ティッシュペーパーを織り交ぜて、微妙に減る量調整してたのに」


「そっちの減りも早いから気が付いたのじゃ!! お主、なんでそういう小賢しいことをするのじゃ!!」


 ばれたくないからだよお前。

 普通に、同居人にそんなことしてるなんて、バレたくないだろう。

 バレたいと思う同居人なんてこの世に居ないっての。


 お前、そこに愛があるのかいってそういう感じになるだろうフォックス。

 いくらいろいろ事情があるからって、その、いろいろフォックス。


 うん。この手のネタでフォックスフォックス言ってりゃ、そこそこ面白いやとか、そういうことを思ってるわけじゃないんだ。本当に勘弁して欲しかったんだ。


「じゃぁーなんだよー、メンズインターネットカフェでもいけってーのかよー。我が家にはそんなお金、ねーだろーだよー。勘弁してくれだよー」


「こいつ、開き直りおったのじゃ」


「だいたい加代ちゃんがいけないんでしょう!! ちゃんと元の体形に戻る気があるんですか!? もうかれこれ一ヶ月くらい、その合法ロリフォームですよ!! 僕だってね、男の子なんですから!! そりゃいろいろ大変ってもんですよ!! 合法といってもロリはロリですからね!! 手を出したらまずい訳ですよ!!」


「……手を出したらって、その表現はどうなのじゃ」


「男はケダモノなんですよ!! お前もうその辺りから分かってない!! というか、ケダモノなんだから分かるでしょう加代さん!! この、本能――」


「分かるか!!」


 べしりと尻尾が俺の頭を叩く。

 八尾減ったが一尾は元気。俺のそれと同じでビンビンのオキツネ尻尾は、容赦なく俺の頭をしばいたのだった。


 ちくしょうフォックス。


「逆にちっちゃい女の子と同居する漫画とか、どうしてるんだフォックス!! 教えてくれフォックス!! 御せないフォックス!!」


「じゃから不穏な発言は慎めと言うておろうが!! たわけ!!」

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