さいはてのヘブン

このはな

第1話



 僕はまっすぐに彼女を見た。静かに告げる。

「ごめん。もう、会えない。いや、会わない方がいいんだ」

 生まれて初めてする、本気で本当の、さよなら。

「どうして?」

 彼女の目から、涙がこぼれた――。




 目覚めてみると、僕はひとりぼっちだった。

「戻ってきたのか……」

 ベッドの中で何度も、彼女の残像を視線でなぞる。そうすれば、現実でも彼女に会えると思った。けれど、頭の隅っこでは、ちゃんとわかっている。そんなこと、あるわけがない。会わないと決めたのは、僕が先なんだからって。


 でも、やっぱり。少しだけ、つらくて苦しい。


 夢の中で知った彼女の名をつぶやく。

「はるか……」

 くちびるをきゅっと強くかみしめた。


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