9/13 『ノンアル』
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〈DDCF〉:宇宙戦闘機設計部でその名の通り設計士が集まる部署。室内は広大で、棚と机が雑多に並ぶ研究所風の空間。壁や天井は木目調で、床は靴音を吸収するカーペットが敷き詰められている。部屋の一角、宇宙がよく見える大窓の傍に電志と愛佳の机がある。
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〈DDCF〉は今日も平常運転。
愛佳が作業の手を止めて話し出した。
「さあ電志、そろそろボクたちのトークショーの時間だ」
それを受け電志も作業を中断し、応じる。
「ああもうそんな時間か」
「執筆状況から確認しようか。最新話は普通の小説の1ページ弱くらいは書けたらしいよ」
「あまり芳しくないな」
「でもプロット自体は何話か先辺りまで考えてあるんだって」
「そうか。それを文章に落とし込む時間が不足しているんだな」
「なんか、他人の仕事が溢れてしまい、その手伝いで遅くまで仕事しているんだって」
「ほう、作者も偉いじゃないか」
「断れないだけみたいだよ」
「強制かよ……」
「作者がね、最近ハマっているものがあるんだって。電志は何か知ってる?」
「ああ、確か酒っぽい物を買って帰って飲むことにハマっているとか」
「うわあ、アルコール中毒かい?」
「いや、ノンアルコール飲料らしい」
「じゃあ、ノンアルコール中毒かい?」
「ノンアルコールなら中毒じゃないだろ」
「何で?」
「何でって……だってアルコールじゃないし」
「でもノンアルコールにハマってるんでしょ? それはある種の中毒だよ。ゲームにハマり過ぎるのもゲーム中毒って言うじゃあないか」
「……いや、それはそうだが……何か新しいな、ノンアルコール中毒」
「ボクが今作った言葉だからね、新しいわけさ。じゃあ今日はこの辺で締めようか」
「じゃあまた明日、だな」
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