チーム八代
「……向こうから仕掛けてきたって……。まだ奴は何も手ー出してへんやんけ……」
俺は
そりゃ、そうやろ?
それを
『
そんな利伽の暴論に加勢したんは、遠く離れた大阪の地から念話で参加してる、俺のばあちゃん「
『ウチも大概、あの“ガキんちょ”の遣り方にはイライラしとったんや。ここは一つ、パーッと盛大に暴れて、思いっきりぶち壊したらえーんやでー』
そんな会話を(念話含む)してたら、宗一の方も応戦の構えを取り出した! 奴の前面に、無数の霊気の塊が浮かび上がったんや!
それは、今の宗一の霊気を宿したからなんやろうか、気持ちの悪いくらい、黒に近い紫色をしてる! 丁度、利伽の放つ霊気の色とは対照的や!
ただ宗一の霊気塊には、その禍々しさに見合った攻撃力があることはすぐに分かった!
「おい、利伽。先制攻撃で挑発するんは
今の利伽は地脈の力も得て、見た目も実力も神人のそれや。攻撃力もさる事ながら、防御力かて常人のそれやない。
「……いや―――……それがな―――……。どうやら私、攻撃特化型みたいで、防御はあかんみたいや……」
タハハ……とでも続きそうな声音で、利伽が俺の問いに答えた。……って、
「なっ……なに―――っ!?」
―――キュキュキュキュンッ!
俺の叫びと、宗一の攻撃が放たれたんは同時やった! この場におる俺以外……利伽は勿論、ビャクや
―――ギャギャギャギュンッ!
無差別に、無数に放たれた宗一の霊気弾は、強固に張られた防御障壁が完全に防ぎきった! こんな障壁を瞬時に張れるんは……。
「はぁー………。私の主様達は……揃いも揃って……
表情の乏しい顔で、わざとらしい大きな溜め息をついた蓬が、彼女には似つかわしくないまさかの毒を吐いた。
しかも強ち間違って無いんやから、俺も利伽だって反論出来んかった。
「またまたー、蓬ちゃーん。
なんや、居心地が若干悪くなった空気を、蓬の後ろから出てきたビャクが、彼女の肩に手を回しながらそう言って吹き飛ばした。
「……な……何ですか……バカ猫。そんな事は……」
「んーもー。蓬ちゃんて照れ屋やニャー」
またも辛辣な蓬の言葉やけど、これはビャクの言う通り。顔を真っ赤にした蓬の悪態なんか、精神的優位なビャクには
「は……離れなさい……バカ猫……」
蓬の抗議も、ビャクの体を引き離すには至らんかった。一体いつの間に、こんなに仲良くなったんやろ? って言う程のイチャつき方やけど、何て事はない。ただビャクが蓬をからかってただけやな。
「……それよりも……ビャク……。あなたは……何をサボって……いるのですか?」
コホンと軽く小さな咳払いをして、未だ顔を赤らめたままの蓬は、話題を変えるべくそうビャクに質問した。
蓬の照れ隠しは兎も角、確かに好戦的なビャクにしては、攻撃されたにも関わらず反撃に出てないんは変な話や。
「ウチもそうしたいんはヤマヤマやねんけどニャー……。相手のご指名が、利伽様みたいニャから……」
蓬にそう答えながら、ビャクは宗一の方へと視線を向ける。
―――ビリビリビリッ!
その瞬間、信じられへん位の圧がビャクと宗一の間に生じて、その余波が俺らの
それを受けて、浮かべた笑みを崩さん宗一も流石や! どれ程の自信が奴にはあるんか、見当もつかんな……。
「一対一の勝負ね? 望むとこやわ!」
利伽も今のやり取りを見てたやろーに、気丈にもそう言い捨てて一歩前に出た。こっちは宗一程の余裕はなく、どっちかってゆーと虚勢の笑みなんか、若干ひきつり気味や。
その利伽の更に前へと、蓬が彼女を護る位置に進み出た。無言のまま採られたその行動に俺は勿論、利伽も一瞬、呆気にとられてた。
「……貴女を……護るのが……私の役目……ですから……」
蓬の表情は毅然としていて、異論なんて頑として聞かんっちゅー雰囲気がビシバシ伝わってきた。
「で……でもあいつは、私を指名だから……」
それでもオズオズとやけど、利伽が蓬にそう意見した。もっともそれは、どうにも蓬に気を
「利伽様には……
相変わらずその話し方だけは、どこか気だるげな、所々言葉を句切ったもんやったけど、有無を言わさん迫力が込められてる。
「それに……向こうは此方が何人でも……構わないようですが……?」
言葉を封じられてる利伽の答えを
―――それと同時に!
―――ギャギャギャギャギャンッ!
蓬の張った防御障壁が、さっきよりも強く激しい衝突音を上げた! 宗一の、有無を言わさん攻撃は、蓬の
「
そう言ったビャクは、そっと俺と手を繋ぎ、グイグイと引っ張り出した。その顔は何でか嬉しそうや。
「で……でも……。利伽が戦うんやで? 俺も……」
「手伝いニャんか、蓬がおったら十分ニャで。タッちゃんは今回、お呼びやニャいって、利伽様もアイツもゆーてるわ」
確かに……強さに拘ってた宗一は、何や最初から利伽をターゲットにしてた節がある。そして利伽も、それを知ってた風や。
「じゃー俺は、何も出来んと指咥えて見てるしか
利伽が……幼馴染みが……大好きな女性が戦うっちゅーのに、俺には何も手出し出来へんのか!? それは、
「だいじょーぶニャって! タッちゃんには、“解説”って枠がちゃーんと残ってるニャ」
「……っ!?」
「ああ、“実況”でも問題ニャいニャ。どうせ頼まんでも、一人でブツブツ実況なり解説するんニャ?」
「……!!」
俺は……今度こそ本当に……絶句した……。
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