器に注ぐもの
幕間1
「怒りは持続しない。そのあとに何が残ると思う?」
ねこうさぎは問う。
「……恨み?」
上機嫌に尻尾を振りながらうなずく。
「残された恨みの処理は、他のことに昇華、もしくは」
「復讐」
「恨みの対価は血で贖わなければならない。果たしてどうなんだろうね」
その問いに対する答えは持ち合わせていない。
万有の倉庫の扉に感情はなく、扉の裏側を駆け巡る知識に基づくのみ。
「復讐は虚しいというけれど、ありふれた感性の代わりに、知識しかない人間というのは、果たしてどうなんだろうね」
彼の問いに、問いで返した。
問いの逡巡、万物の流転のごとし。
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