第166話 「クレヨン」

実家に行ったら、親父が小学生の時に描いた絵が出てきた。それを見たのは数十年ぶりで、さらには僕が小学時代に、これを見たときの事も思い出したのだった。

僕の小学時代の話だ。


◇◇◇


親父が、小学校5年に描いた、クレヨン画を見た時は、マジで驚愕した!


『クレヨンて、こうやって描くものなのか!!』


と思った。同じ5年生の時に、僕は見たので、その衝撃は物凄かった!!その時に思ったのは……


『本物の絵だ』


と思った。人間の中から出てきた表現に僕は身震いしたのだった。そうそう親父は一時期、美術大学を目指した事もあるらしかった。


親父の絵については、身内を誉めるのは何とも恥ずかしいが、とにかく凄くて、クレヨンが、まるで油絵の具のように、重なっていたのだった。(そう使うのがクレヨンの技法なのだが)


そして、白樺を描いていた絵だが……「白樺が生えて」見てたのだった。もうこれは、気持ち悪くなるほどだった。今ならCGとかあるけど、当時見たその絵は、まさにそんな感じだった。(これはちょっと誤解があるなあ。つまりは脳の中にある物がそこに描かれているので、本物のように感じるといったかんじであろうか)


見たままを描く技術もさることながら、自分の中のイメージとして「絵」が描かれていた。正直、嫉妬した。本当に描ける奴は違うんだ!と思った。すごく、悔しい。ズル~イ!と思った。


親父は、絵について教えてくれなかった。まあ基本的に、親父は、自分の姿みて、自分で会得しろ!派だった。そして、絵はあまり描いて見せてくれなかった。でもまあ今にして思うと、きっと本当に大事に心にしまっていた事なのだと思う。


でもまあ、孫が生まれた訳なので、是非ぜひ、親父に存分に教えてもらおうと思う。 


おしまい


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