第157話「虫の音で寝る」

小学校2年の秋に、親父の会社仲間のバーベキューに連れて行かれた。親父はビールを飲んで楽しそうだが、僕は、バーベキューを食べてしまえば、楽しい時間はお終いだった!


時間をもて余した僕は、虫の声に気が付いた。その声は、コオロギだった!

僕は早速、声の主を探した。草むらに石があり、石をひっくり返すと、コオロギが沢山飛び出して来た!僕はこんな事もあろうかと持って来た虫かごに、コオロギを放りこんでいった。


バーベキューの場所には、僕以外にも子どもが沢山いて、段々と他の子どもも集まって来た。知らない友達と一緒に虫を探した。虫の音色は、スズムシもいる事を知らせてくれた。


「スズムシいるね!」


と、僕が言うと、知らない男の子が……


「チンチロリンって鳴き声もしたから、マツムシもいるよ!」


と、言って一緒に探した。その後、虫かごには……


コオロギ、スズムシ、マツムシ、イナゴ、ショウリョウバッタ


で、いっぱいにになった。

そうそう、カマキリもいたなあ。でも、カマキリと一緒にカゴに入れると、食べられてしまうので、その男の子に、デカいカマキリはあげてしまった。

家に帰ると、婆ちゃんに虫かごを見せた。


「婆ちゃん、沢山捕まえたよ!」


と、僕が言うと……


「あら、凄いね!おや、イナゴもいるね!佃煮にしようか?」


と、案の定、言った。もちろん佃煮は断った。

さてさて夜はふけ、寝る時間となった。僕は虫の音色で寝るのを楽しみにしていたのだ。しかし……


「あ~!うるさくて寝られない~」


玄関においた虫かごからは、コオロギ、スズムシなどの合奏が高らかに響き渡っていたのだった。それがとにかく思っていたよりも、うるさいのだ!!

で結局、虫かごを玄関の外に出して寝たのだった。


おしまい

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