第105話「プール開放」

僕の小学時代の話だ。

夏休み中の小学校では、夏の「校庭開放」と共に、もうひとつ、「プール開放」があった。

とはいえ全校生徒が、一度に来たら、そりゃ入れないので、時間割りがあった。つまり、2学年づつ、1年と2年。3年と4年。5年と6年とペアに分かれて、さらに午前と午後に分かれてプールに入った。

この頃の学校はのどかで、プール担当の先生が宿直明けで、お酒に匂いをプンプンさせていたりとかあったし。さらには寝過ごして遅刻、とりあえず用務員さんがプールを開けたりとかもあった。そのことを親父に話すと……


「人間だし、そんな事もあるよね!」


と、言っていた。

夏休みも中盤になると、みんな田舎やどこか旅行に行ってしまい、プールに来る奴もへった!10人にも満たない人数の時もあった。なのでプールは貸し切り状態だった!!

水に、大の字に寝転がり、プカプカ浮かんで、青空と入道雲をずっと眺めた。あまりにも、子どもがいないから、先生も暇で、学年が違うけど……


「午後も、プールに来いよ!アイス買っておくからさあ」


と、言っていた時もあったなあ。

もちろん先生自身は、監視があるから行けないので、ジャンケンに負けた子どもが買いに行った。

本当に今では出来ないんじゃないかなあ、こんな事。(当時は、学校に文句言う親なんて、ほとんど居なかったのだ)

そういえば、週末の土曜日の午後には、5、6年の高学年のみ、プール掃除があった。その時も……


「暑い中、ご苦労さん!」


と、言ってご褒美に、アイスを食べさせてもらった!

ジリジリ照り付ける太陽と、火傷しそうな、プールサイド。アイスは、異常な速度でとろけていく。僕たちは、その溶けるアイスに負けないよう……


「う~冷た~い!うま~い!」


と、叫びながら、買ってもらったアイスを頬ばったのだった。


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る