第71話「雨の日のオモチャ屋」
僕の小学時代の話しだ。
5年生の時、ガンダムのプラモが流行った。当時は大流行で、入荷してはすぐに売れてしまった。ある日、入荷したと噂を聞いた僕はオモチャ屋へ行った。
そのオモチャ屋は少し遠い所にあった。
隣町の、さらに隣の町の小学校の前にあるオモチャ屋。(正確には模型屋だった)
僕は雨が降っている中、傘をさして自転車に乗って出かけたのだった。
オモチャ屋に着いた。店内は客は誰もいなかった。一番乗りだ。
「おじさんガンプラある?」
「あるよ」
おじさんの指差すほう、そう棚には、入荷したばかりのガンプラが積まれていた!僕は早速、プラモを選んだ。僕は、グフのプラモを買った気がする。
レジを済ます頃には、他のお客の子ども達が、ワラワラとお店に入ってきた。
「わー!ザクがあった」
と、いう声に、買ったプラモをかかえ、僕はこう思っていた。
『僕のプラモは、ザクとは違うのだよ、ザクとは!』
僕は入れ違いにお店を出た。お店の外は、いまだ雨が降り続く。
僕は自転車に乗り傘を差してオモチャ屋にやって来ていた。お店のおじさんは、ガンプラをレジ袋に入れてくれていたが、なんだか濡れそうな気がした。僕は、シャツの裾をめくった。お腹に入れたプラモの箱。レジ袋がひんやりと冷たかった。
シャツの裾をズボンの中に入れ、僕は満面の笑みを浮かべ家路を急いだのだった。
おしまい
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