第74話 魔王「本当の魔族の償い」
女勇者「いて…」
女勇者(くそ…戦士の野郎…攻撃が効かないって分かってたら…こんなヘマ…)
神官妹「女勇者大丈夫?」パアア(回復魔法)
女勇者「神官妹…」
女勇者「あ、ああ…ありがと」
神官妹「…!」
女勇者「な、何だよ…」
神官妹「いえ別に」ニコ
女勇者「?」
神官妹(女勇者がたかが回復魔法で礼を言うとわね)
神官妹(前魔王討伐の冒険時は勇者を僧侶が回復摩るのは当たり前、やって当然だから礼なんか必要ない)
神官妹(そんな感じだった貴女が礼をね…)
神官妹(私も…戦闘がそれで円滑に進むなら構わないと思ってたけど…)
神官妹(…たまには悪くないかも知れないわね…こう言うのも)ニコ
女勇者「な、何だよニヤニヤしやがって」
神官妹「別に♪」
女勇者「? 気持ち悪い奴だなあ…」
魔王「あ…」
魔王(何だろ勇者さんと神官妹さんが何か良いな…)
魔王(何だろこれ、見てると…何か良い匂いする)
魔王(…これは何だろ)
魔王(良くわからないけど…守ってあげたい…)
魔王(そんな匂い…)
魔王(世界…の匂い…?)
女勇者「それにしても戦士の野郎…去り際の台詞…やっぱり何か知ってるな…」
魔王「…!」
魔王(あれ…何だっけ…? 今僕は何を考えてた?)
魔王(…思い出せない)
魔法使い「魔王や妖魔将軍と同じで攻撃を受けつけない体か…」
魔法使い「奴もエルフの魔石を持っていた…? いや、魔法も使って無かったしそんな物を持っていた様子は無かった…」
神官妹「妖魔将軍も本当にエルフの魔石で不死身になってたのかしら?」
魔法使い「何? どういう事だ?」
神官妹「…もしかしたら、あの二人は魔王様と同じ体になっていたのかも…」
魔王「僕と同じ体…?」
魔王「僕と同じ体になっても弱いししょうがないと思いますが…」
女勇者「お前…いい加減自分が強いことを自覚しろよな」
魔王「え? や、やだなぁ勇者さんまで何を言って…」
女勇者「妖魔将軍と戦ったとき言ったろ、お前はアタシより強いって」
魔王「え? でもあれは僕にやる気を出させるための嘘だったんじゃ」
女勇者「嘘とは言ってない…あーもーうっせーな! お前はとにかくアタシより強いんだよ…何度も言わせんなよ…イライラする」
魔王「…本当…何ですか?」
女勇者「だからーっ本当だっつーてんだろっっっ!」ダン(地団駄)
魔王「ひ!」
魔王姫「本当ですわお兄さま」
魔王「魔王姫…」
魔王姫「先代の…くそオヤジっっっ!は」
魔王「へっ?」
魔王姫「だからくそオヤジっっっ!!は、お兄さまの力を恐れて、世界の力の基準を偽って教えてたのですわ」
魔王「ええ!?」
魔王「そ、そうなんだ…で、でも魔王姫、父上をそんな風に言ったら可哀相だよ」
魔王姫「いえ! あのゴミムシケラに同情の余地は無いですわ! ふん!」プイ。
魔王「は、ははは…」
魔法使い「それでどうなんだ?」
魔王「え?」
魔法使い「自分が強いと分かったら、お前は再びエルフや人間界を侵略するのか?」
魔王姫「…! お兄さまその時は魔王姫、また将軍としてお兄さまの剣となって戦いますわ! 体さえ頂ければ!」
魔王「え? いやいやいやいや! そんな事しませんよ!」
魔王姫「えー…」
魔王「いや残念がらないで;」
魔法使い「ふ…お前ならそう言うと思ってた」
魔法使い「ヘタレだしな」
魔王「え?」
女勇者「そうそう…ヘタレだしな」
魔王「ええ?」
神官妹「ヘタレですしね」
魔王「えええ!?」
神官姉「大丈夫…魔王ちゃん…は頑張りやさん!」グッ(b)
魔王(ヘタレは否定しないんだ…)
魔王「もう確かに僕は荒事は苦手かも知れないけど、ヘタレ酷いですよー!」
一同「あはははは!」
神官妹「それで話は戻しますが、妖魔将軍も戦士も、もしかしたら魔王様に近い体をしているのではと思います」
魔王「僕に近い体…?」
女勇者「お前は自覚無かったけど、お前にゃアタシがどんなに本気で攻撃しても、傷一つ追わなかったんだよ」
魔王「本気で攻撃って…!」
魔王「えええ!? 勇者さん僕を聖剣で叩いて時本気だったんですか!? 殺す気だったんですか!?」
女勇者「あ、うん」
魔王「軽い…!?」
魔王姫「お兄さまを…殺そうとしたなんて…勇者やはり死ね! 死ね!」
女勇者「やだ」
魔王姫「むきー!」
魔法使い「まあとりあえず、つまり戦士と妖魔将軍は、魔王と同じ魔族の絶対防御…闇のまといを張っていると?」
神官妹「ええ…」
魔法使い「それも違うと思うぞ」
神官妹「え?」
魔法使い「私は創造神様に闇のまといを払う術を授かった、その術を授かった者は、闇のまといを見る目を持つことが出来るのだ」
魔法使い「だから私は魔王の高度なステルス魔法で隠された闇のまといを見ることが出来たのだ」
魔王「高度なステルス?」
魔法使い「しかし戦士と妖魔将軍はそんな闇のまといをまとっているのは、一切見えなかったぞ?」
神官妹「何ですって…!?」
神官妹「私はてっきり闇のまとい同士が衝突すると中和無効になって…だから武器で攻撃するより肉体の攻撃が通じてたのだとおもいましたわ…」
女勇者「んじゃ何であの二人は魔王みたいに不死身になってたんだよ」
魔法使い「皆目検討もつかん」
神官妹(…後、考えられるとしたら、それはあり得ない事しか無いわ…)
神官妹(この世の武器魔法が通じない絶対不可侵な…あの存在になるしか…)
女勇者「魔王! お前だけ殴ればダメージ通るんだ、何か知ってる事は無いのか?」
魔王「え、ぼ、僕ですか?」
魔王姫「…! 女勇者! お兄さまと肩を組むなんて馴れ馴れしいですわよっ!」
女勇者「うるせえなこのアタシがこんなにフレンドリーにしてやってんだ! 本当だったら友達料を取ってるところなんだぞ、ありがたく思え!」
魔王姫「な、何て勝手な言い分ですの…」
魔王姫「そのネジくれた性格じゃ貴女の方が友達いなさそうなんだから、友達になってるのはお兄さまでしょ! 貴女が金を払いなさい! 貴女が!」
女勇者「は、はあ? 何を言って…と友達とか余裕でいるし? 100人作ったし?(震え声)」
魔法使い「どこかの初等学校に入りたての子供か…」
女勇者「とにかくアタシには友達いるし、魔王がどうしてもって言うから、友達になってやっただけだし?」
魔王姫「嘘! 絶対に嘘だわ! お兄さまがそんな事を言うハズありませんわ!」
女勇者「はあ!? じゃあ本人に聞いてみるか?」
魔王姫「望むところですわ!」
女勇者「おい魔王! お前自分から友達になってって言ったよな!?」
魔王「え?」
魔王(あれ…何でこんな話になってるんだ?)
魔王姫「お兄さまどうなのですの!?」
魔王「あ、えーと…」
魔王「確か…僕から頼んだかな…そう言えば」
魔王姫「なっ!」
女勇者「しゃっオラ!」
魔王姫「く…馬鹿な高潔なお兄さまが、勇者の…しかも下賎過ぎる人間と…そんな友達になるなんて」ぷるぷる。
女勇者「勇者は分かるけど、下賎過ぎるって何だよ…」
女勇者「とにかく魔王がアタシに頼んだから友達にしてやったんだ!」
魔王姫「ぐぬぬ…」
女勇者「へへーん、ばーかばーかっ!」
魔王姫「く…」
魔王姫「お兄さまっ!!」
魔王「え?」
魔王姫「勇者に頼んで友達になったって嘘ですわよね?」
魔王「え…ほんと…」
魔王姫「嘘ですわよねっっっ!!!」ギロ!
魔王「あ、えーと…」
女勇者「あ!? てめー何口ごもってんだっ!?」
魔王「え、こっちも!?」
女勇者・魔王姫「どうなの!?」
魔王「その…えーと」
魔王「そ、そう言えば魔法使いさん、先程…」
女勇者「おい!」
魔王姫「お兄さま!」
魔法使い「こっちに逃げるな、と言いたいところだが…何だ?;」
魔王「そ、その僕が高度なステルス魔法で何とかって言ってましたが、あれはどう言う意味ですか?」
魔法使い「意味も何も、お前は魔力や魔法を普通には感知させないように高度な技術で隠していると言う、話だが」
魔王「…? 高度かどうか分かりませんが…隠すのが当たり前では?」
魔法使い「意味が分からないが?」
魔王「い、いえ…魔力を人前に晒すのは、裸や肌着を見せるくらい恥ずかしい事と…父上…は!?」
魔王姫「…そうですわ、それもクソオヤジの嘘ですわ…」
魔王「そ、そうだったのか…でもなんでその事を魔王姫は教えてくれなかったのですか!?」
魔王姫「それは…第一にお兄さまが自分の力に気づいたら、クソオヤジが封印して殺すと言ってきた事と」
魔王「ち、父上がそんな事を…」ガク。
魔王姫「そして第二に…これが重要な事なんですが…」
魔王「これよりも重要な事が…!」
女勇者(それは一体何だ…!)
魔王姫「それはお兄さまが魔力を人前に出すのを恥ずかしいと思い込んでいた理由の、魔力を出すことは人前に裸や肌着をさらす事と同じになることっ! それですわっ!」
神官妹(それが一体…)
魔法使い(何になると言うんだ…!)
魔王姫「つまりそれは…お兄さまの前で魔力を出すと言う事は、裸や肌着を晒すことと同義っ!!」
魔王姫「愛するお兄さまにそんな認識、恥ずかしい格好を見てもらえるなんて…これ以上快感な事がございましょうか!?」
一同(へ、変態だーっっっ!!!」
女勇者「また変態だったか…)
神官妹「女勇者…貴女もシスコンだから…」
魔王(…裸や肌着を晒すのは恥ずかしい事は分かるけど…何でそれが快感になるのだろう?)
神官姉「魔王…ちゃん!」シュバババ。
魔王「? どうしたんですか神官姉さん急に魔力を高めたりして」
神官妹「とりあえずまあ…おふざけはここら辺にして、妖魔将軍や戦士の事もこれ以上審議してもよく分かりませんし、帰りますか」
女勇者「だな」
姫「ま、まてまて!」
魔王「あ、姫様」
女勇者「いたの?」
姫「ここがわらわの居城何だから、いて当然じゃろう!」
神官妹「まあそうですわね」
魔法使い「それで今更何なんだ?」
姫「今更もまっさらも無いわっ!」
姫「魔王!」
魔王「は、はい?」
姫「魔王姫の処刑の話はどうなったのじゃ!?」
女勇者「まだそんな事言ってるのか? 魔王姫はもうアタシが助けるから、その話はおしまい、無効、understand?」
姫「ふざけるなっ! そんな事わらわが認めない…」
神官妹「認めないも何も、戦士もいないのにどうやって私たちを止めるつもりですか姫様?」
姫「く…」
姫「そ、その…言葉国家反逆罪じゃぞ!?」
神官妹「まあ姫様がそのようにお取りするならご随に」
姫「何…」
神官妹「戦士すら居なくなった姫様が、私たち勇者のパーティーを王国の敵にしても良いと言うならと言う事です」
姫「…! く…」
魔法使い「このような抵抗も出来ない者をいたぶるような非道を行ったのだ…創造神から下った天罰として受け入れるのだな…」
姫「く…エルフごとき蛮族が…」
魔法使い「…やはりそう思っていたか、まあ…お前のような薄汚い人間にどう思われようと構わんがな」
姫「…く」
商人「ひ、姫様…ここは引いた方が…」
姫「…」ギロ。
商人「…!」
姫「…ま、魔王!」キッ!
魔王「ぼ、僕ですか!?」
姫「そうじゃお前はどうするのじゃ!」
魔王「ぼ、僕は…」
魔王「僕は…魔王姫を守ります!」
魔王「もう二度と手放したりしません!」
姫「…!」
魔王姫「お兄さま!」
姫「では、その助命を願うとして、荒れ果ての地の街を差し出すのじゃな!?」
魔王「それも出来ません…!」
姫「なっ…」
魔王「あそこには多くの魔族が住んでいるのです。その魔族の全てが納得しない限りお譲りする事はできません!」
姫「うぬぬ…」
姫「なら貴様は魔王姫の処刑もしない、荒れ果ての地の街も手放さないと、そう言っておるのじゃな…?」
魔王「はい…!」
姫「…!」
姫「くっ…」
姫「じゃ、じゃあ…国としての魔族が行った戦争犯罪はどう償うつもりなのじゃ!」
魔王「…!」
姫「お前は虐殺した王国民の遺族に謝罪すら、する気も無かったと言う事なのか!?」
魔王「それは…」
魔王「…そんな事は…ありません、魔族が起こした戦争で刻まれた、王国民の皆さんの悲しみや怒り…それは分かります」
姫「なら…!」
魔王「…分かりますけど…でも、僕は分かったんです」
姫「何がじゃ?」
魔王「戦争で多くの悲しい犠牲が生まれたのにそれを癒すのに、また犠牲を生み出さなきゃいけないなんて…絶対におかしい!」
魔王「戦争で悲劇を起こした者たちが罪を償うは正しいです、だけどその償いかたは、街を奪ったり誰かを処刑する事なんかじゃ断じてありません!」
魔王「これ以上戦争で犠牲や悲劇を生み出さない未来を作る事です」
魔王「だから二度と戦争が起きないように、もうどちらも禍根を残さない為、これ以上の犠牲を払うような事は許せません!」
魔王「それが我々魔族、戦争を起こした者が行う謝罪で償いです!」
姫「ぐ…」
姫「じゃ、じゃが、それは魔族の勝手な言い分じゃないか!」
姫「見ろ我が怒りに荒ぶる王国民を!」
人間「勝手な事を言うな糞魔族!」
人間「俺は魔族に家も家族も焼かれた!」
人間「返せ! 今すぐ返せ!」
人間「魔族何かと分かりあう訳ねーだろ!」
姫「どうじゃ…我が王国民はお前の言う事に賛同擦るものなど一人もいないぞ?」
姫「それでもお前は自分の我が儘を押し通すつもりか?」
魔王「く…」
魔王「…皆さん!」
魔王「聞いてください…そんな犠牲を払うようなやり方をしても、争いは無くす事は出来ません!」
魔王「皆さんの怒りや悲しみは分かります…」
魔王「でも…分かりあう事が…そう分かりあう事が大切なんです!」
魔王「僕たち魔族は…人間と分かりあえる魔族にきっとなって見せます!」
魔王「だからその時間をください」
魔王「お願いします!」
人間「だからお前らと分かりあうつもりなんて無いんだよ!」
人間「分かりあいたいなら、俺らの目の前で全員自決しろ!」
魔王「お願いします! お願いします!」
女勇者(魔王…)
人間「黙れ敗戦国が…!」
人間「負けたやつは黙って言うことを聞け!」
魔王「…!」
姫「そうじゃお前は条件言える立場じゃないのじゃ!」
姫「敗戦国なのじゃからな!」
魔王「…く」
魔王「…」
魔王「負けたから…」
姫「?」
魔王「負けたから何も言っちゃいけないのですか?」
姫「!?」
姫「開き直るつもりか!」
魔王「そんな…つもりはありません!」
魔王「ただ僕は…!」
女勇者「良く頑張った」ポン(魔王の頭を叩く)
姫「何…女勇者?」
魔王「ゆ、勇者さん」
女勇者「これ以上、こいつらに綺麗事言っても無駄なんだよ」
女勇者「何せ体の内側が、ヘドロ丘のくっさい毒沼より汚いんだからさ」
姫「なっ…! 貴様不敬罪じゃぞ!」
女勇者「だから後はアタシに任せておきな」
魔王「ゆ、勇者さん…?」
姫「無視するなっ!」
女勇者「おい姫よ…お前は敗戦国だから、魔王に言う事聞けって言ってるんだよな?」
姫「今度は呼び捨てかっ!」
姫「…まあ良い、そうじゃ敗戦国は先勝国の言う事を聞くのは絶対じゃ!」
女勇者「OKOK…」
姫「なんじゃ一体…」
魔王「勇者さん?」
女勇者「すぅ…」
女勇者「おい聞け王国民どもっっ!!」
姫「!」
魔王「!」
人間「な、何?」
人間「あれは…女勇者様?」
人間「女勇者何だ一体?」
女勇者「お前たちなー!? 魔族との戦争が終わってるとか勘違いしてるみたいだけどなー!?」
魔法使い「何だあいつ何を言うつもりだ?」
神官妹「あの子まさか…」
人間「何を言おうとしてるんだ?」
人間「さあ?」
女勇者「魔族との戦争は終わってないぞーーーーっ!!」
会場一同「…」
会場一同「えええええーーーー!!!」
姫「き、貴様女勇者な、何を言うつもり…」
女勇者「前魔王倒したけど、新しくこいつが魔王になったから魔族との戦争は終わってないんだわっ!」
女勇者「ちなみにこの魔王なー…」
女勇者「アタシより強くて全然倒せる気しないんだわー!!!」
女勇者「まーそう言う事で、アタシは助けらんないから、あんまりぎゃーぎゃー言ってると殺されっぞお前ら!?」
魔王「ちょ、ちょっと勇者さん殺すなんて…物騒な」
人間「何言ってんだ女勇者様は?」
人間「あのチビが…女勇者様より強いって?」
人間「はは…そんな事ある訳…」
女勇者「おい魔王」
魔法「はい?」
女勇者「ちょっとあの壁に向かって何でも良いから攻撃魔法を撃て」
魔王「え…だ、ダメですよ! そんな危険な事に魔法は使えませんよ!」
女勇者「うっせーなっ!!! お前のためにやってるんだろうがっ!!!」
女勇者「アタシの好意を無駄にする気かっ!! 言う事を聞かないとてめー…髪の毛全部刈るぞっ!!!」
魔王「…! そ、それだけは、で、でも…」
女勇者「あっちは人はいないから…誰も怪我しないから大丈夫だから、いいから早くやれっっっ!!!!」
女勇者「うがーーーっ!!!!」ブンブン(聖剣を振る)
魔王「わ、分かりました、分かりましたから、やりますから」
魔王「えーとファイアボルト!」
姫「なんじゃそんな初級…魔法は…!?」
ギュオオオオオオオオオオッッッ!!!
カッ!
スドオオオオオーーーーンッッッ!!!
ゴオオオオオオ(爆風)
バラバラバラ…。(壁消滅してついでに向こう側の山も消滅)
女勇者「ふいー…」
女勇者(予想はしてたけど、初級魔法でこの威力かよ…)
魔法使い(これで上級魔法撃ったらどうなるんだ…)
姫「あ…あ…」ガタガタ。
人間「…あ」
人間「うわあああああっ!!」
人間「な、何だあの魔法は…!」
人間「た、助けてーーーっ!!」
人間「ほ、本当に戦争は終わってなかっんだ!」
商人「こ、こんな事聞いてないぞ!」ダッ。
姫「あ、ま、待て…わらわも助けろっ!」
魔王「あ…お、驚かしてすみません!」
ワーワーキャーキャー!
魔王「あ、あの逃げないで」
ワー…キャー…
魔王「あ…あ…」
…シーン。
女勇者「はー見事に全員逃げ出したな…」
女勇者「すっきりーすっきりー!」
魔王「すっきりじゃないですよ!」
魔王「人間さんを驚かしちゃったじゃないですか!」
魔王「これじゃ魔族と人間さんが分かりあう事がまた遠ざかってしまったじゃ無いですか…」
女勇者「うっせーなあんな自分の事しか考えないクズどもと、分かりあえなくても良いんだよ」
女勇者「…アタシの村にいたやつらにそっくり…!」
女勇者「だからお前はあんなやつらの事なんか気にしなくて良いんだ!」プイ。
魔王「勇者さん…」
魔王(やり方はあれだったけど…僕の事を考えて…やってくれたのかな?)
魔王(それに芝居とは言え…あんなにプライドが高い女勇者さんが、僕より弱いなんて宣言してくれたんだ)
魔王(感謝はしないと…!)
女勇者「…」
魔王「…勇者さん、ありがとうございました」
女勇者「…何だよ、文句言ったりお礼言ったり忙しいやつだな…」
魔王「はい」ニコ。
女勇者「ん…ふん///」プイ。
魔王「でも、勇者さんは嫌かも知れませんが、僕はあんな人たちともきっと分かりあえる世界を作って見せますよ!」
女勇者「…!」
女勇者「…それは…まあ、お前がそうしたいなら勝手にすれば…」
魔王「はい!」ニコ。
女勇者「…ふ」
魔法使い「なるほど戦争がまだ続いているなら、敗戦国では無くなるから戦後補償もしなくて良いと言う事か」
魔法使い「まあやり方は強引だったが、女勇者が取ったこの手段は正しかったのかも知れんな」
魔王「そうなんですか?」
魔法使い「あんな興奮状態で、何も代価無しに許してもらおうなんて事が土台無理だ」
魔法使い「しかし怒りと悲しみと言う感情は時間が解決してくれる事もある」
魔法使い「そんな感じに相手が落ちつけば、今まで聞かなかった話を聞いてくれる事もあるだろう」
魔法使い「だから、今は距離を置いて、相手を落ち着かせるのも一つの手だ」
魔王「なるほど…人と話すのって当然ですけど奥深いですね…」
魔王「そして、それを見越してあんな演技をやった勇者さん…流石です!」
女勇者「え? それほど…でもあるかな? あっはっは」
神官妹「そこまでは考えてなかったでしょ?」
女勇者「そ、そんな事ねーよ!」
神官妹「嘘ね、とりあえずこの状況がぶっ潰せれば良い程度にしか思ってなかったハズよ」
神官妹「何故なら貴女がそこまで頭が回る訳ないですもの」
女勇者「う、うっせーな余計なお世話だし、何気に酷いぞ!」
神官妹「ともあれ、これて魔王姫様の処刑も無くなって、荒れ果ての地の街を奪われる事は無くなって良かったですわ」
魔王「そ、そうですね!」
神官妹「しかし…姫や、それに戦士に妖魔将軍がこのまま大人しくしているかしら…」
魔王「…!」
魔王(確かに…危機は去ったけど、無くなった訳じゃ無いんだ)
魔王(僕に守りきれるだろうか…?)
続く
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