002【遊び例】 「お茶」という概念で遊んでみた!

以下、時空モノガタリ様に投稿した、拙作「お茶の限界」をぺたっと貼り付けます。


『お茶の限界』 にぽっくめいきんぐ


 伊藤家で「闇茶会」が開催された。闇鍋のお茶バージョンだ。この会の参加者は大学一年の同期、伊藤、今野、小山だ。以下、その模様をレポートする。


伊藤「ちゃんと色々持って来たか?」

今野「持って来た」

小山「僕も」

伊藤「よし、じゃあコタツ入って」

今野「あったかいな」

伊藤「外寒いからな」

小山「テレビつけるよ」

今野「何見る?」

伊藤「お笑いのDVDで良くね?」

小山「それでいいよ」

伊藤「じゃあやるべ。で、先に提案なんだけど」

今野「何?」

伊藤「闇鍋と同様だと、二番煎じかと思ってさ」

小山「お茶だけにな」

今野「そういうの別にいいから」

伊藤「だから、もっと突っ込んで、お茶の限界を見極めないか?」

今野「限界?」

小山「なにそれ?」

伊藤「あのさ、お茶と、お茶じゃないものとのギリギリの境目を見極めようってこと」

今野「境目?」

伊藤「そう、境目。ギリギリお茶だよねってラインを探る」

今野「ってことは、烏龍茶とかは駄目?闇茶の初級編ってことで持って来たんだけど」

伊藤「当然だめ。明らかにお茶だからポイント低い。もっときわどい所」

今野「あんことかは?」

伊藤「お茶じゃないね。甘くてうまいかもだけど。そっち方向に明らかなのもポイント低い」

今野「ポイント制なのか」

小山「ハーバルエッセンスシャンプー持って来たんだけど」

伊藤「飲める物持ってこいよ!」

今野「あぶねー、そのまま闇茶やってたらやばかったな」

伊藤「まったくだ。で、わかりやすい所は、葉っぱ」

今野「葉っぱならお茶っぽいな」

伊藤「そそ。葉っぱはお茶なのが明らかだから、ポイント低め」

今野「それはなんとなくわかる」

小山「大麻とかも葉っぱだよね」

伊藤「それはリアルに駄目!ゼッタイ!」

今野「てことは、葉っぱだから茶って事でもないのか」

伊藤「そ。限界ライン、結構むずい」

小山「なるほど」

今野「じゃあ、葉っぱ以外はどう?」

伊藤「たとえば、ごぼうはお茶じゃん?」

今野「確かに。葉っぱ以外にもお茶あるな」

伊藤「ってことは、例えば、芋とかもお茶になり得るって思わないか?」

今野「芋は味噌汁でしょ」

小山「芋煮もあるよ」

伊藤「うん。芋は通常そっち。じゃあ芋とごぼうってどう違うのかって疑問」

今野「お茶は沸騰させてないでしょ」

伊藤「温度の問題か?」

小山「80℃で煎じたら芋茶。100℃なら芋煮」

伊藤「にわかに首肯しかねるな」

今野「突然難しい言葉使うなよ」

小山「じゃあ、黒豆とか?」

伊藤「お、黒豆茶ね。明らかにお茶」

小山「思うんだけど、そもそも緑茶がだめじゃん」

今野「は?」

伊藤「お茶でしょ明らかに」

小山「いや、緑。緑って概念を煎じてるじゃん」

今野「概念をどうやって煎じるんだよ」

小山「お湯で」

今野「概念はお湯では抽出できねえよ」

伊藤「そもそも、緑って概念広すぎだよな」

小山「でしょ。紅と緑が先に出回って、他のお茶が登場出来ない。ずるくね?」

今野「ずるいって感覚がわからんわ」

小山「爽健美茶とかどうなのよ?爽健かつ美しいって、概念二つも煎じてる。混ぜ茶」

伊藤「概念っていう概念から離れろって」

小山「あと、緑茶の『茶』ってなんだよ」

今野「そこは深入りしちゃだめだって」

小山「いやいや、納得いかんでしょ。緑茶って緑なの?茶なの?どっちなの」

今野「物としては茶でしょ。緑は色」

小山「どっちも色を表す単語じゃん。色で色を煎ずるのはおかしい」

伊藤「もう意味わかんねーよ!」

小山「他には、ほうじ茶は?」

伊藤「製法だろそれ」

今野「製法を煎じてるわけじゃないだろ」

小山「先に言うなよー」

伊藤「なんかわけわかんなくなってきたな。」

今野「鉄観音とかはどう?」

小山「それ!鉄の観音!鉄分補給凄すぎ」

今野「南部鉄器並……いやそれをはるかに超える」

伊藤「絵的に想像すると、凄い事になってるな」

小山「かなり有力候補かと」

お茶の水「なんの話?」

今野&小山「うおおお!」

今野「いたのかよ!」

伊藤「昨日から泊まりにな。なかなか起きてこないから放置してた」

小山「先に言ってよ。びっくりしたよ」

お茶の水「朝弱いんだよ俺。で、何の話?」

伊藤「お茶の限界ラインを見極めよう、って話をしてたんだけど」

お茶の水「なんだそりゃ」

小山「そういえば、お茶の水って、お茶なの?水なの?」

今野「またそれかよ」

小山「気になるじゃん。お茶のお湯ならまだわかるけど、水っておかしくない?煎ずる事できないじゃん」

伊藤「はいはい」

小山「で、どっち?」

お茶の水「全体で一つの固有名詞な」

三人「お、おう」

今野「しゃべったら喉かわいたな」

伊藤「コーヒーあるぜ」

お茶の水「お、いいね。眠気覚ましに欲しい」

小山「ハーバルエッセンスシャンプーあるけど入れる?」

三人「それは無茶!」


<了>



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る