家族
父親が入院した。
国の特定疾患で治ることはない病気だった。
入院期間は半年ほどだったが、それでも日々弱っていく父親を見るのは辛かった。
僕はまだ小学生で、弟もまだ小さかった。
母親は父親が家にいないということがすごく不安だったに違いない。
それでも、僕たちの前では平気を装っていた。
弟は普通の子が一人でできるようなことがなかなかできない。
母親か僕かが手伝ってあげるしかない。
父親がいない環境下で家族は助け合い支え合っていた。
父親は入院してからの3か月間、食べ物を食べることができず、その後も病院食が続いていたせいで、退院したころにはげっそりと痩せていた。
父親の退院後、初めて家族で出かけたのは近所のスーパーだった。
晩御飯のおかずを買いに行くだけの短い外出だったが、家族そろって出かけるという当たり前のように思っていたことが、こんなに幸せなことだったんだと実感した。
母親は車内で嬉し泣きをしていた。
弟も笑顔だった。
運転している父親の姿を見て、何故だかわからないけど安心した。
そこにいるだけで家族を安心させる。
そんな父親に僕もなりたいと思った。
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