021「妖精さんの、収入はゼロ円です」


「「ま、魔法少女ぶひぃー!」」

「「手足をへし折って、ちっぱいを揉んであげないといけないブヒィー!」」

「「きっと、すごい子供を孕んでくれるブヒィー!」」


シルバーは、疾風のように迫り来る豚人間を足止めするために、銃弾を打ち込んだ後に、破片手榴弾を投擲した。

しかし、ワルサーはグロック17と違い、弾丸の装填数が少なすぎる。

再装填の隙を突かれたら、負けそうだ。殺されそうだ。苗床ENDになりそうだ。


(収入ゼロ!収入ゼロ!

なんで!なんで!なんで!?)


しかも、広告収入を打ち切られた事で、シルバーは激しく混乱していた。

無駄弾も増え、手榴弾も効果的に使えなくなり、余計に出費が嵩む。

このままだと貯金を使い果たして自滅せざる負えない。


『妖精さん!冷静になれ!』

『使い捨ての新兵さんになってはダメだお!』


「で、でもっ!どうすれば良いんだよ!」


絶対絶命の状況に、シルバーは、焦りすぎて『いざという時の秘策』すら忘れている。

いや、そんな事を考える暇がない。

相手をしているのは、学習能力が高い豚人間だ。

戦いが長引けば、嫌というほどに、厭らしい手段を行使してくるだろう。


『この戦場は、妖精さんの方が有利だ!』


「空を飛べないし、豚どもに接近された時点で人生終了だよ!?」


そう叫びながら、シルバーは、突撃してくる豚人間の顔に、手榴弾をぶつけて吹き飛ばす。

負けて殺されるのは一歩マシな最悪。もっと最悪なのは、捕まって拷問されたり、女の子になる薬を投与されて、子供を生産する苗床として人生を終了する事だ。

死ぬより酷い結末。そんなもんを迎えるくらいなら、異世界のボンバーマンになって自爆した方がマシだ。


『確かに、妖精さんは空を飛ぶメリットが消失している。

だが、それは豚側にも言える事だ。

あいつらは……洞窟という狭い地形のせいで、数の暴力というメリットを完全に殺されているに等しい』


「でも、援軍のない籠城戦をやっても、詰んでいるだけのような……?」


不安そうに呟きながら、シルバーは、すぐ目の前まで迫ってきた豚人間の頭部を、拳銃弾で打ち抜いた。


『このショタ、会話しながら余裕でござる』

『妖精さん、恐ろしい子っ……!』


「お前らと会話していると……なんか、気づいたら落ち着いた。ありがとうな」


『この状況を打開する方法を、俺らも考えるお』

『頑張れ妖精さん』


「じゃ、聞くけど……屋内戦で、最強の武器ってなに?」


『ダイナマイト』

『スコップ』

『毒ガス』


どれもこれも、今の状況では使用者すら巻き込む武器だった。

スコップなんて塹壕戦じゃないと、役に立ちそうにない。


(もうやだ……この異世界。

捕まったら死ぬより酷い目に合いそうだし……やべぇ!)


運が悪い事に、拳銃の弾倉を交換中に、一匹の豚人間が地面を蹴って迫ってきている。

細身の豚人間。恐らくオッパイ党の最速短距離ランナーだ。

再装填は間に合いそうにない。

シルバーは腰のホルスターから、サバイバルナイフを取り出して投げた。

綺麗にナイフが、豚の目玉に突き刺さる。


「俺の美少女を見るための目がぁぁぁぁぁ!!痛いブヒィィィィィ!」


『ちょwwwサバイバルナイフを使い捨てにしちゃだめぇー!』

『貴重な近接武器がぁぁぁー!』

『どこでナイフ投げ覚えたのwwww妖精さんwww』


「あんな化物と近接戦闘したら、すぐに人生終了するからこれで良い!

それよりも、この状況で使えそうなアイテムを考えてくれ!」


「「たまらん絶世の美少女ぶひぃー!」」

「「巨乳じゃないから微妙だけど我慢するぶひぃー!」」


通路の向こうから、数十匹の豚人間が、欲情して勃起して、鼻息を荒くして迫ってくる。

殺しても殺しても切りがない。

シルバーは手榴弾の安全ピンを抜いて、地面に転がすように投擲。豚の群れの先頭を無残に吹き飛ばす。

その間に、拳銃の弾倉を交換する。

装填を終えた途端に、豚人間の集団が再度、突撃してきて、休憩する暇もない。


「あぁぁぁぁぁ!!俺、死んじゃうっ!

プラチナと、一緒にお風呂に入る夢も叶えていないにぃぃぃ!!

異世界生活の難易度が高すぎるぅぅぅ!」


『妖精さん、正直すぎるお』

『でも、気持ちはわかるお。可愛い彼女がいたら、エッチィ事したいのは当たり前だお』

『慌てるな、餅つけ』

『ネット通販で、モチ米を購入するんだお!』


「お前らが慌ててどうする!」


シルバーは、少しでも時間を稼ぐために、ワルサーに装填された7発の弾丸を全て消費……ジャムッた。薬莢の排出に失敗して、次の弾丸が装填されない。

引き金を何度も引いて、その嫌な現実に、気づかされた。


「あれ?あれ?」


『ちょwwwwwwルパンの愛銃まで壊れるとかwwwwww』

『おまwwwww妖精さん運悪すぎwwww』

『なるほど、故障寸前の銃だから安かったんだお?』


こうしている間にも、2匹の豚が迫ってくる。太っている割には素早い化物が、あと10mほどの距離まで近づいてきた。

ここで時間を稼げる手を打たないと、服をビリビリに破られて、殺されたり、犯されたり、酷い目に合うのは確実だ。

だから、シルバーは、躊躇なく――


「この役立たずっー!」


『妖精さん!ルパンの愛銃を投げちゃだめぇー!』

『躊躇なく使い捨てにしちゃ、らめぇなのぉー!』


今まで世話になったグロック17とワルサー。

その二つの拳銃を投げて、豚人間の頭にヒットさせる。


「鼻が痛いブヒィー!」

「この妖精娘は怖いブヒィー!」


豚どもが鼻血を出して、止まっている間に、シルバーはネット通販から破片手榴弾を購入。

安全ピンを外して、広場の地面に落として、洞窟の奥に逃げる。

背後の空間から、耳が痛くなる爆発音とともに、豚どもの絶叫が響き渡った。


『妖精さんは、とんでもない事をしました』

『ルパンの愛銃をすき放題弄んで、捨てちゃったのです……』

『ワルサーさんに謝れ!』


銃もナイフも失った。代わりの武器が必要となる。

残りの僅かな予算で買えて、効果的な武器。

それが無ければ、完璧に人生が詰む。

豚から、逃げながら、シルバーはネット通販の青い画面を表示し、精一杯の誠意を込めて、ネットの皆に頼み込む。


「お前ら!お願いします!

真面目に使えそうな道具を考えて!

このままじゃっ!俺っ!死んじゃう!というか苗床にされちゃう!」


『火炎放射器はどうだお?

屋内戦だと、最強の範囲攻撃武器だと思うお』


残金たったの7500円。

家庭用火炎放射器(中古)は7000円。

シルバーの残りの貯金は、使い過ぎてワンコイン(500円)の領域に突入してしまった。


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手榴弾×10 1000円

銃弾×50 1000円

家庭用火炎放射器 7000円


妖精さん「残りの貯金がワンコインな件」


消費 9000円

残金9500円 ⇒500円

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豚「あと少しでハッピーエンドぶひぃー」


豚「女の子は幸せにするブヒィー」



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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html


【小説家になろう】 「お願い!アフリカで内政チートしてください! 」無理ゲー

http://suliruku.blogspot.jp/2016/05/blog-post_54.html

【内政チート】「鉄器がない世界で、鉄器を作るにはどうすればいいん?」

http://suliruku.blogspot.jp/2016/05/blog-post_51.html

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