オチテイク
ユーキチ
TAKE:1
「えっ?
…あ、ハイ?
僕すか?
ん…ん?
僕?
…ええと、どこかでお会いしましたっけ?
えっと…、なにか?
どうしたんです?
何か…用事があって僕んとこ、
来たんじゃないんですか?
あの…?
ん?何?
これは?
僕に?
何すか?
………
ゴ、ゴホン。
えー…
いやぁ、いきなりこういう手紙を渡されてもねぇ…
えと、そ、そのぉ、なんと言えば言いのか…
こ、困りますよ…
あの、初対面ですよね?
…う~、こ、困るなぁ…
あれ?
いや、ちょっ、
あ、
な、泣かないでよ、
なに、なんなのよ。
何なのよこのコはも~、おろろ…
僕が泣かせたみたいじゃないの…
う~…
と、取り敢えずさ、ちょっと落ち着こう?
落ちつこ、ね?
大丈夫?歩ける?
ほ、ほら、そこの公園のベンチまでさ。
これ、使ってハンカチ。
ほらっ、自販機で温かいコーヒーでもおごってあげるから。
甘いのがいいよね?
130円あったっけな…
これでいいよな…
はい。
…落ち着いた?
どう?
で…なんで僕?
僕ら初めまして、だよね?
もしかしてキミ、ずっと僕のコト見てたの…?
でも…なんで僕なの?
僕はさぁ、大概こういった手紙なんかとは縁がない男だよ?
だ、だってさ、
頭もよくないし。
あ、えと、そこまで悪くないか、一応進学校行ってるし。
スポーツも出来る方じゃないし…
あ、でも反復横とびだけは割と得意かな。
顔だってそんなに良い方じゃないし…、あ、、いや、そんなに悪くはないと自分では思ってるけど…クラスでは中の上くらいなのかな…?
たまにジェニーズの相馬くんに似てるねとは言われるけどね。
…あ、
なんだろ、もしかして…
金目当てだったり…?
言っておくけど金は持ってないからね。
ウチだってサラリーマンの父の中流家庭だよ?
ペットだって飼えやしない。
え?
お金じゃない?
なら…まさか…
宗教勧誘?
違う?
良かったぁ、キミみたいな可愛い女の子が宣教家じゃなくって。
あ
僕ったら咄嗟に…
イヤイヤイヤ、
な、なんでもないよ、
や、ホント。
ホントに何でもない…
う、
ん~…わかったよ、
その、あまり僕、いや、あまり、じゃないか。
女の子に面と向かって『可愛い』なんて、
言ったことないから、は、恥ずかしいなって…
違うよ!
ノリでだとかじゃない!
ほっ
ホントに…か…、
そ、
その本気で、かっ…
可愛いよ…
そ、そそそ、その、あの、
あっ、キミ、
赤くなってるぞぅ。
ほ?
僕もだって?
ぼ、僕は元々こーいう肌の色なの!
いやぁ、今日はなんか…
不思議な日だけど、
幸せってゆ~か…
え?
キミも…?
ぼっ、僕ら…
ん?
あ、
キミどしたの…?
具合悪いの?
目、つぶっちゃっ…
……
!
……
ね、ね、
人、たくさんいるんだよ…?
あそこの砂場のとこで子供遊ばせてるおばさんがすごくこっち見てるんだよ?
ねぇ…
キ、キミィ…
いいの…?
い、
いく、よ…?
[to TAKE:2]
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