第8話「疼き」

■PC1オープニング・シーン3 ~疼き~

GM:と言う訳で君の眼前には王座の間が広がり

テラスト王国の国王ジルナウスⅡ世とその娘フローリアがいる。


イオス:頭を垂れている。頭の中はこの先をどう切り抜けるかでいっぱいだ。


GM:「よく来てくれたなイオスよ。君の噂は聞いている、なかなかに素質のある若者だと。しかもあのレオード卿の息子。我が娘の夫としても申し分は無い」

とジルナウスⅡ世は上機嫌に君へ話しかける。


イオス:「陛下にお認めいただけるとは、光栄でございます」


GM(ジルナウスⅡ世):「うむ、なかなかに礼儀をわきまえておるな。ますます気に入った。フローリアよ。そこのイオスと少し話すといい、お前の夫となるのべき人物だからな」


GM:「は、はい」

とフローリアと呼ばれた少女が君に近づいて君の手を取って王座の間を出て行く。


イオス:ふう、上手いこと話す場が作れた。


GM(フローリア):「あの、お久しぶりです。イオスさん」


リザベラ:会った事あるんだ


イオス:お、面識あるのか。


GM(フローリア):「あ、覚えてませんか? ずっと小さい頃にこの国にイオスさんが来た時に私、ちょっぴりお話ししたんですよ」

ちなみに君はそんな事、忘れていていいよ(笑)


イオス:「いえ、思い出しました。お久しぶりです、フローリア王女」

実際覚えているかは秘密だ。


GM(フローリア):「良かった~! 覚えていてくれたんですね!

でもイオスさん、すっごくカッコよくなっていて、私びっくりしましたよ~」

そう嬉しそうに言いながらフローリアは言葉を続ける。

「えへへ、でも嬉しいな。実は私、イオスさんのことずっと好きだったんですよ。だから好きな人と結婚できて嬉しいです」


イオス:「それほどまでに好意を寄せられていたとは、正直意外でした。

王女はこの結婚に乗り気ではないのではと思っていたものですから」


GM(フローリア):「そんなこと無いですよ!」

君のその言葉に彼女はハッキリと断言をする。

「私、本当に嬉しいんです」と君を真っ直ぐ見る。


イオス:………。


GM:「……あ! あれ見てください!」

と不意にフローリアは王城のテラスから眼下に広がる式場を指差す。


イオス:そちらを見るよ。


セレナス:そのスキにほっぺに(ry


GM:ああ、それはいい手だな~(笑)

まあ冗談は置いておいて。そこには多くの市民が集まっているが中央では騎士たちが勢ぞろいし、一つの大きな岩の前に司祭が立っている光景が見える。


GM(フローリア):「あれ、これから起こる騎士任命の拝命式なんですよ」


リザベラ:……てーことは、セレナスの?


GM(フローリア):「あの大きな岩は『誓いの石』と言って騎士となる者が騎士となる時に誓いを立てる岩なんです」


イオス: 「これはまた盛大な」


GM(フローリア):「なんでも大昔の英雄の魂が眠っているとかいう逸話があって……。あ、ちょっと横道に逸れちゃいましたね」

舌を出してフローリアは謝る。

「それで、あの任命式の後に私たちの結婚式が用意されているんです」

とフリーリアは顔を赤らめる。


イオス:「そうですか、任命式の後に……」

式場を見て、少し遠い目をする。


GM:「イオスさ――」

そう言って君達二人の後ろから聞きなれた少女の声が聞こえる。

そこにはセクエンツィアがいた。


イオス:おお、堂々と出てきて大丈夫なのか。


GM:まあ、専属って事で通してあるから(笑)

「あ、あの……お、お邪魔、でしたね……」

とセクエンツィアはおどおどと後ろに下がろうとする。


イオス:「いや、構わない。何か用があったんじゃないのか……?」


GM(セクエンツィア):「あ、いえ、その……イクフォードさんがいなくて……」


イオス:「イクフォードが?!」さすがにそれは驚くぞ。


セレナス:なんというナンパ師。


GM(セクエンツィア):「た、多分、町の雰囲気に呑まれたか

女の子をナンパしに行ったと思うんですが……」困った顔で。


イオス:「ナンパしに行くことがないようにセレナスのリストバンドを渡したんだが……弱かったか……」


GM(セクエンツィア):「みたいですね」笑いながら。


セレナス:男にナンパされたのかもしれない、腕力的な意味で。


GM:その瞬間。“ぢりっ――”とイオス君は両腕に熱い痛みを感じる。


イオス:「――?!」


GM:見ると両腕に妙な痣のようなものがぼんやり浮き上がっていた。

「イオスさん、それ! どうしたんですか!」

と隣のフローリアが。


イオス:「わかりません、熱い痛みが走ったと思ったら突然――」


GM:君がそう言いかけた瞬間、眼下で拝命式の始まりを告げる音楽が鳴り響く。

それと同時に人々の歓声が君達の耳に入る。

しかし、イオス君。君はそれどころではなく両腕に妙な疼きと共に胸の内から何か黒い感情が出てくるのを感じていた。


イオス:えっと、それはいつもレオードに向けているものとは別種の?


GM:んー、近い感じかなー。


イオス:「フローリア王女、私から離れてください! セクエンツィアもだ!」


「え――?」

セクエンツィアとフローリアの二人は同時にそう呟く。

だがイオスの両腕に刻まれた刻印の疼きは先ほどより遥かに痛みを増す。


そしてその瞬間、眼下の会場にて悲鳴が起こった―――。



■GMシーン ~褐色の影~

 テラスト王国首都セルドルから少し離れた丘の上で城の広場にて行なわれている拝命式を見つめる複数の褐色の戦士達の姿がそこにあった。


「ここで間違いないのか?」


 リーダー格らしい男が隣の黒いローブを纏う女性へとそう問う。


「ええ、間違いないわ。だけど少し急いだ方がいい。嫌な旋律が聴こえ始めている」


 女性のその言葉に男は舌を打ち、腰に下げた剣を手に取る。


「【死の刻印タナトス・スティグマ】。発動する前に―――殺す」


男のその言葉と共に褐色の戦士達は首都セルドルへと入っていく――。



■PC2オープニング・シーン3 ~果たされる約束~

GM:君は任務を終えて、現在シュヴァルストの前にいる。

「……今回は少し、てこずったか?」

と彼が君へ声をかける。


リザベラ:「少々油断致しました。ですが目標は全て完遂。問題はありません」


GM(シュヴァルスト):「そうか」

そう言ってシュヴァルストは君の瞳を見つめ、やがて笑みを浮かべる。

「……フッ、久しぶりに人と接したか? リザベラ」


リザベラ:「……やはりシュヴァルスト様に隠し事は出来ませんね。

えぇ、不覚にも毒を受け気絶したところを宿まで運んで貰いました。

幸い、予め解毒剤を入手しておいたため、毒の影響は残っていません」


GM(シュヴァルスト):「そうか……」

君のその言葉を聞き、シュヴァルストは瞼を閉じ深い感情を込めるように君へ語る。

「リザベラ。私は剣が欲しいとは言ったがそれは自らの意思を持った剣の事だ。

ただ、人の命令を聞くだけの人形ではない。自らの強い意思を持った者は強い力を発揮する。私はそんな剣が欲しいのだよ」


リザベラ:「シュヴァルスト様。剣は考えません。ただ、主に振るわれるのみ」


GM(シュヴァルスト):「お前らしいな。まあいずれ分かる時が来る」

そこで言葉を区切り、シュヴァルストは瞳を開き、いつもの冷静沈着な雰囲気で本題を話す。

「今回お前には最重要任務を渡すためにここへ呼んだ」


リザベラ:「了解。詳細をお願いします」


GM:君のその言葉を聞き、シュヴァルストは君へ青年――イオスの姿が描かれた絵を渡す。


イオス:ME?!


リザベラ:「ナハトノーブルの若者……。そう言えばテラスト王国の第三王女の婚約相手はナハトノーブルでしたね」


GM(シュヴァルスト):「そいつの名はイオス=ヴァルムオンド。

リザベラ、お前に渡す任務は彼をその命の限り守り通せ。例え奴がどのような人物でどのような人物から狙われても、だ」


リザベラ:「イオス=ヴァルムオンドの護衛、了解いたしました」


GM(シュヴァルスト):「……やがてそのイオスを中心に世界は大きく変わる。

我々世界の敵・魔族バスタード共が必ず介入してくるだろう」


リザベラ:「魔族が!?」


GM(シュヴァルスト):「お前のその剣で降りかかる全てを切り裂け。イオスの命を護り、奴を狙うであろう魔族共を蹴散らせ」


リザベラ:「委細承知」


GM(シュヴァルスト):「……そして、待たせたな」

そう言ってシュヴァルストは君に近づき、肩に手を置く。

「――数年前の約束を果たそう」


フィリア:「……ッ!! まさか奴、が?」


GM:「ああ、今回の件にはあの『真紅の剣士』の存在が確認された。

魔族達と共に行動をしている姿がな」


リザベラ:「シュヴァルスト様。命令内容に敵指揮官の殺害は含まれていますか?」

顔をシュヴァルストに向けずに聞こう。


GM(シュヴァルスト):「好きにするがいい。私の命令はあくまでイオス=ヴァルムオンドの護衛。それ以外はお前の『意志』で行なうがいい」


リザベラ:「ありがとうございます。……ふ、ふふ」


GM:ではそんな君にシュヴァルスト様は用意していた美しい水の入った瓶を君へ渡す。

「『空間水』だ。この中に入っている水を足元に振りかければ、その時に念じた場所へと瞬時に転移ができる。何かの連絡時にはこれを使ってこの場所まで戻って来るがいい」


リザベラ:「了解……」


GM(シュヴァルスト):「では、任せたぞ――」


 シュヴァルストの声を背にリザベラは歩く。

 やがて再会するであろう運命の真実にこの時点で彼女はまだ気づかずにいた。

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