心の階級
最後のチャイムが鳴った。
めいめいがランドセルを肩に引っ提る。
私は黒のそれを片腕にかけて、つい先日できた友達、佐藤くんのもとへ行った。
「今日遊びに行ってもいい? DSやってみたんだ!」
「ごめん、もう使う人がいるから」
寝返られた心地がした。グレーに渦巻く名前のないものが肺のあたりにあらわれる。
「僕にも使わせてよ!」
抑えきれずに声を荒げる。視界には佐藤くんの顔しか映っていない。だけどその顔が残念そうにしているのにはついに気づくことはなかった。
「フザケンナ」
グレーの下僕は主人の命に忠実だった。
佐藤くんの顔に爪を立てて傷を作ってやったのだ!
彼は泣いた。僕も泣きたかった。
「心に従わず 心の主となれ」
とは釈迦の言葉だが、今では身にしみて感じられる。
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