第416話 疲れは足から

 年末年始の清掃業は忙しい。

「もう殺意しか湧かない」


 清掃業とか介護職とか、他人の後始末をする仕事をしている人がキレる。

 思わず手を挙げる、そういう事件が起こることが理解できる。

 起らないわけがないと思ってしまう。


「客が神だ」

 そんなことを言ったバカな歌手

「客は金だ」

 そう言いたかったんだろう…。


 何をしても許されると思ってんだろうな~。

 とか考えながら部屋を掃除する。

 汚い…臭い…家でもこうなんだろうな…みっともない家族が歩いている。

 臭い年寄りが歩いている。

 剥げたおっさんが歩いている。


「なんで人を殺すと罪なのか?」


 今日も疲れた。


 そして階段を踏み外した…

 足を挫いた。


 部屋から階段からボロいにも程があるぞ!!


「直して、底辺客が来ない普通のホテルになれ!!」


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