第163話 どう思うの?
ホテルが満室だった。
ラブホでバイトしていると週末には、よくある光景だ。
満室だとフロント業務以外が無くなるわけで、ヒマということになる。
休憩室でくつろいでいると、モニターに部屋待ちの車が、ずっと停まっている。
「よく待つね」
「また今日は空かないよね…運が悪い」
その時間は、本当に空きが悪かった。
電話が鳴った。
外線…ホテルのオーナーだ。
カメラで状況をチェックしているのだ。
「なんで、客がずっと待っているのにジュースの1本も持って行けないんだ!! そういう気遣いが無いのか!!」
怒鳴りだした。
その後、社長からも電話があり、そういうときは外に出て対応するようにとさらに怒られた。
大概、向こうから電話してきて、状況を伝えるのだが、待っているのだから、特にこちらからすることはないと思う。
「ラブホで、ソレやると逆効果じゃないですか?」
「いいからやって」
案の定、出ていったら車を急発進して逃げたわけだ。
それでいいのだそうだ。
客の為に何かしようとして失敗したほうがいいのだそうだ…。
気持ちだけのバカってやりにくい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます