風邪

身体が重たい。

朝起きて私が思ったことだった。

それに頭も痛い。

風邪をひいたようだった。

「うぅ~、動くのが辛い」

お母さんに連絡してもらうために一度リビングに降りる。

「あら、おはよう。ごはん出来てるわよ」

「ごめん、お母さん。ちょっと体調がすぐれないから休みたいんだけど」

そういうとお母さんは驚いた顔をしながらも体温計を差し出す。

「珍しいわね、佳奈が風邪をひくなんて」

私はそれに返事をするのすらだるくて受け取った体温計ですぐさま体温を測る。

ピピピっ

見ると38℃近い熱だった。

数字を知って余計身体が重くなった気がする。

お母さんに体温計を渡し椅子に座る。

「とりあえず少しだけ食べて寝るね」

そういって私は目の前の朝食を食べ始めた。

結局全然食べれず私はそのまま部屋に戻ってもう一度布団に入った。

瞼が重たい、このままならすぐに寝れそうだ……

私はそのまま意識を手放した。


「おはよー」

僕は教室に入って友人に挨拶をする。

ふといつものメンバーの一人、佳奈がいないことに気が付く。

「あれ?佳奈は?」

「今日はまだ来てないね、珍しく遅刻か」

「遅刻って、佳奈は遅刻しないでしょ」

佳奈はいつも一番に来るのでこの時間に来ていないとなると何か事故か事件に巻き込まれていないかなんて心配になる。

「携帯にメールはしてあるから大丈夫だろ」

そういわれたが僕はやっぱり心配でしょうがなかった。

それから間もなく先生が来て点呼を始める。

「よし、今日は近藤以外は全員いるな。近藤は風邪だそうだ。ここ最近風邪が流行ってるからお前たちも気を付けろよ」

そういって担任は出て行った。

僕はそれを確認して携帯を取り出す。

そうしてメールを打つ。

さっとメールを打ち携帯を片付ける。

そうして授業の準備を始める。そんな中さっきの友人がやってくる。

「珍しいこともあるものだな、佳奈が風邪だなんて」

「まぁ、佳奈も人の子だから」

「それもそうだな」

「ところでここに来たのはそれだけじゃないよね?」

そういうとばれたかといった顔をして

「悪いけどシャー芯貸してくれ」といった。

あれから休み時間ごとに携帯をチェックしているが返事はない。

昼休み、お弁当を食べながらこまめに携帯を見る。

それでも返事はなかった。

下校時間になっても返事がなく少し心配になって佳奈の家に行くことにした。

ピンポーン

「はーい、どちら様って士道くんじゃない。どうしたの」

「えっと、ノートとかいろいろ届けに…」

もちろん嘘である。ノートなんて学校で渡せばいいし課題も今日は出てない。

ただ単に佳奈のことが気になったので来たなんてさすがに言えない。

しかしおばさんにはばれていたのかちょっと意味ありげな笑みを浮かべながらも部屋に上げてくれた。

「ちょうどいいわ、ちょっと買い物に行ってくるからしばらくこの家にいてくれないかしら」

「え、でも…」

「いいのよ、あの子今日は全然起きてこないしもし起きてきても士道くんなら大丈夫だろうし」

そういってもし起きてきた場合のことなどを言っておばさんは出て行った。

「はぁ~、何をしていればいいんだ…」

とりあえずテレビをつけてくれていたのでチャンネルを変えてぼーっとする。

「えっ…し、士道?」

「―――っ!?」

突然した声にびっくりしながらも声のする方を見ると佳奈が立っていた。


あれから何時間が経過したのだろう。

外は日が傾いている。もう夕方なのだろう。

携帯を見て時間を確認する。

いつもならもう帰ってくる時間だった。それと同時に届いてるメールに気が付く。

「メールのチェックはあとでいいかな」

とりあえず飲み物が飲みたくなってベッドから降りる。

朝よりは身体も軽くなったが頭痛だけはとれていなかった。

階段を下り部屋に入る。

そうして気が付く、テレビを見ているのがお母さんではないことを。

「えっ…し、士道?」

「―――っ!?」

いつも一緒にいるメンバーの一人、士道がそこにいた。

「どうして、ここに…」

「えっと…その、メールしたけど、返事がなくて心配になって…その」

そこまで言われて気が付く。

あのメールは士道が心配してくれたメールだったのだと。

「ごめんなさい、さっきまで寝てたから。とりあえず今は大丈夫よ」

「よかった、佳奈が風邪なんて珍しいから心配で」

そういって士道は立ち上がるとコップを出してテキパキと飲み物を用意する。

「そこに座ってて、飲み物はおばさんから聞いてるしあとこれも出してあげてくれって言われたから」

士道にそういわれて私はソファーに座る。

台所では士道がりんごの皮をむいていた。

そうしてすぐにりんごとポカリを出してくれた。

「なんかごめんね、どうせうちのお母さんが無理言ったんでしょ?」

なんとなくあのお母さんが無茶を言ってる姿が目に浮かぶ。

「そんなことないよ、僕が無理言ってきちゃっただけだし…」

そういう士道は顔を真っ赤にしていた。

なんか可愛いな~なんて思いながらりんごをかじる。

「あ、そうだ。一応ノートとかも持って来たんだけど…明日のほうがいいかな?」

「そうね、明日には学校に行けるようにするからその時でいいわ」


「そうね、明日には学校に行けるようにするからその時でいいわ」

そういって佳奈は残ってたりんごを食べる。

「そ、それじゃ僕は帰るよ、佳奈もそんなにひどい風邪じゃなかったみたいだし」

そういって僕は帰ろうとするがなぜか佳奈に止められる。

「せっかくなのだからお母さんが帰ってくるまでいてくれない」

上目遣いでしかもパジャマ姿。

さらに自分の片思い相手にそんなことを言われて断れるわけがない。

僕は結局おばさんが帰ってくるまで佳奈と一緒にいた。

それは病人と一緒にいるというわけで…案の定風邪をもらってしまった。

そんな士道を佳奈が看病に来るという話はまた後日…

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