反発に燃える盲目

セリムとアシタカに背を向けて、ラステルの手を引いたラファエは終始無言だった。苛立ちを隠さずに眉を釣り上げている。そうして与えられている寝室に到着すると、ラファエが胸元から筒を取り出した。それから怒りと悲しみをたたえた目でラステルを注視する。


「今頃孵化している。大人しく村へ帰るというのなら何もしないわ。」


「孵化って蟲の卵?姉様どうしたの?どういうこと?もしかしてあの子も姉様が⁈」


「さっきの蟲騒動については知らないわ。貴方の事を追ってきたのかもね蟲姫。」


苦々しげに吐き捨てられた。ラファエはラステルに向かってその蔑称べっしょうを口にした事はない。影で聞いたことはあってもラステルに面と向かってはない。


ラステルは帰路の途中に拾った短銃を両腕で握りしめた。セリムがお守りがわりにと押し付けた忌むべき武器。セリムの気遣いというのは理解しているが使うつもりはない。だからと言って絶対に今のラファエに渡してはいけない。怒りで分別を無くしている。


荒れ狂う蟲と似た激しい怒りを感じる。


「あら。銃を奪って貴方を撃ち殺すと思った?そういう素直なところ残酷よね。」


「そんなつもりは……。ごめんなさい。」


ラファエがラステルを睨んだ。今まで何度も怒られたことはある。怒られたというより叱られてきた。今はそれとは種類の違う、これは憎しみだ。


「自分勝手。自己中心。一度だって言うことを聞いたことがある?余所者にペラペラと秘密を漏らしておいて村を滅ぼしたいわけ?そうよね貴方は村が嫌いだもの。」


「そんな事ない。育てて貰った村よ。」


「そうよ!化物みたいな不気味な捨て子を立派に育ててあげたのに恩知らずよ。」


ラステルは蟲森に捨てられていた赤子。生身で生きていた化物。それは何度も聞かされてきた。ラファエも口にしないが同じ事を考えていたのか、と悲しみが込み上げてきた。


「私達は理解し合う為にこの国へ来たんでしょう?どうしてそんなに怒っているの?」


指摘通りラステルが軽薄だった。セリムと会った時も先程のアシタカへの態度も。しかしそこまで怒ることなのだろうか?ラステルがおかしいのだろうか?信頼出来ると判断した。理解を深めたい。それだけだ。悪いことなのだろうか?


「その子でこの国を襲わせるのは許さない。私きっと止めるわ。」


「無理よ。滝の村の時と同じで貴方は蟲に感化されてこの国と共に滅びる。ここでは野次られるだけで済まないかもね。」


ラファエはわざとラステルを傷つける言葉を選んでいるようだ。口を開くたびに肩も唇も震えている。


「姉様。意味のない破壊をしてどうすると言うの?」


「意味はある。この国はかつて我らが民を蟲森に追いやった一族の血を引いている。」


大きく深呼吸してからラファエが腕を組み、ラステルを更にキツく睨んだ。筒を持つ手も震えている。怒りと憎しみと戸惑い。それから恐れ。何がラファエを此処まで追い詰めたのだろう。


「グリーク様に頼まれたの?」


ピクリとラファエの眉が歪んだ。


「違うわ。私が提案した。」


「ねえ姉様も分かっているでしょう?森とか外とか関係ない。同じように必死に生きてる。この国だって楽には暮らしていないし蟲森の毒に脅かされている。」


ラファエはこくんと頷いた。それから首を横に振った。


「蟲が怖い。怖くて堪らない。だからこの国を奪う方法を見定めにきた。予想よりずっと堅牢で大きな国。ホルフル蟲森の民が束になって侵略出来ないなら破壊したい。同じところに沈めてやりたい。そう思ってた。」


泣き出しそうに眉間に皺を寄せて、ラファエは椅子に腰を下ろした。筒から手を離して背もたれに力なく寄りかかる。


「姉さ-……。」


「貴方が種を蒔いたのよ。互いに存在を知らなければ平和だった。こんな恐ろしい事を考えずに済んだ。こんな国知らなければ良かった。陽の光なんて死ぬまで見なければ良かった……。あんな男……。」


泣き出しそうな悲痛な表情だった。


「私気がつかなくてごめんなさい……。」


「お父様はこの国にくる前の私と同じよ。」


大抵の者が蟲を憎み、蟲森での暮らしを嫌い、一族の祖先を恨み、外界へ憧れている。ホルフル蟲森の民は滝の村の襲撃で傷ついている。


得体の知れない者達と手を取り合って仲良く暮らすよりも奪いたい。自然な考えだ。それ程蟲は忌み嫌われて恐れられている。セリムに、崖の国に、ホルフル蟲森の全ての人間を受け入れる余裕なんて無い。そもそも崖の国で蟲森を恐れていないのはセリムしかいないようだ。


蟲森の一部の村だけが外の世界と交流を持ち、それが知られた場合羨望と嫉妬で争いが起こるのは容易に想像できる。


そもそも受け入れられない可能性の方が高い。この国もまた蟲を忌諱している。受け入れられなくて蟲森の民が逆恨みしした時、崖の国を滅ぼせる方法が蟲森の民にはある。


禁断の方法。


ラファエの筒。


ラステルはラファエに指摘されるまでそんな事を考えもしなかった。


ただセリムの暮らす国へ来れて浮かれていた。いやもう一度会えたことが嬉しかった。何も考えずまた一緒にいられると安堵した。


それで終わりだった。


いや共に生きるがあると夢見た。セリムならきっと切り開くと思った。他力本願で考えなしの自分に気が付かされる。


自分勝手で自己中心と罵られて当然だ。


「ごめんなさい。姉様ずっと悩んでいたのね。私言われた通り軽薄だったし愚かだった。一緒にグリーク様を説得しましょう。」


「ええ。父を説得する方法を考えていたの。」


ラファエは椅子の肘置きに頬杖をついてラステルを見上げた。どこか楽しそうな顔つきに変わった。


「貴方が永遠に村に忠誠を誓うのよ。この国の為にね。お父様には貴方の裏切りが1番堪える。蟲姫。貴方が犠牲になれば全て丸く収まる。私に反抗したように父を脅せば良い。」


「そんな言い方止めて。」


「不気味な捨て子を育て上げ、更には立派な唄子という役目を与えたヴァンを捨てる?それとも大好きなあの男を捨てる?」


やはりラファエはラステルに怒っている。それもとてつもなく。仕方ないとは思う。この憎しみはラステルが酷くラファエを悩ませたからだろうか。


違う気がする。もっと別の何か。それが何なのかは分からないが違うと言うことだけはハッキリと感じる。


「分かったわ姉様。一緒にグリーク様を説得しましょう。」


筒を指で弄びながら、ラファエが愉快そうに笑い声を上げた。滅多に口を大きく開けないラファエの珍しい姿に辟易する。ラステルは絞り出すように声を出した。


「だからそれを渡して姉様。」


「馬鹿な子。渡す訳無いじゃない。反抗的な目。納得してないってバレバレよ。」


また高笑いしてラファエはラステルを睨んだ。


「セリムと話をする。道を切り開くのを簡単に諦めたくない。」


「戯言なんて聞きたくない。さっさと縁を切りに行きなさい。」


「嫌よ。まずそれを渡して。良くないわ。」


ラステルは銃を構えてゆっくりとラファエに近寄った。


「打つなら打てば。貴方にはそんな真似出来ない。そんなにあの男と離れたくないならそう言えばいい。」


まただ。ラファエの憎々しげな眼光。


「そうよ!セリムと生きたい!でもお父さんを村を捨てるなんてあっさり決められない!」


ラファエがすっと立ち上がった。ゆっくりと近寄ってきてラステルの震える手を握る。ラファエの言う通りラステルには銃弾を放つことなんて出来なかった。嘲笑うように口角を上げてラファエがラステルの手を上から押して銃を下げさせた。自然と涙が出てくる。こんなの駄々をこねる子供だ。


「そんなに慕っているのね。」


ラステルは素直に首を縦に振った。ラファエが乾いた笑いを出した。


セリムと会えない期間、胸が張り裂けそうだった。セリムに会いたくて堪らなかった。必死にラファエに訴えたし反抗もしてみせた。もう一度再会してこれが何と呼ばれる感情なのかも理解した。セリムからの気持ちも知る事が出来た。


簡単に諦めたくはない。


「お願い。グリーク様をセリムと一緒に説得しましょう姉様。」


「叶わない理想や夢を捨てなさい。あの男と別れを告げる時間くらいあげるから。」


ラファエがラステルの頭を撫でた。


「姉様はこの国を知って考えを改めたんでしょう?グリーク様だって……。」


ラステルの頭から手を離すとラファエが再びラステルを睨んだ。


「無理よ。」


「どうして?話してみないと分からないわ。皆で考えましょう?」


「貴方は素直にあの男と縁を切って村に帰るのよ!」


揺れるラファエの瞳の奥の憎しみ。ラステルは顔を背けたラファエの顎を掴んでこちらに向けた。この国へ来てからラファエはセリムの誘いをことごとく断った。顔もろくに見ない。愛想の良いラファエがセリムに対してはいつも不機嫌そうだった。


今頃気付くなんて。姉様はそれに気がつかない事に、悩んでいる事も察しない、そういうラステルの愚鈍さ全てに怒りを感じていたのか。


「姉様……。セリムの事……。」


「離してラステル。」


「そんなに嫌いなのね。」


途端にカッと目を見開いてラファエがラステルの手を振り払った。それからラステルの頬に張り手で打った。


「顔も見たくない!出て行って!」


「ごめんなさい。私気が付かなくて。でもきっと誤解しているのよ。何が嫌なのか教えて?とても良い-……。」


言い終わる前にラファエがもう一度ラステルをぶった。


「出て行って!」


ラファエはラステルの右手に筒を握らせた。


「しばらく放っておいて……。」


ラステルは蹲ったラファエの肩にそっと触れた。また手を振り払われた。仕方なくラステルは部屋を出た。


薄ぼんやりした青白い灯だけの暗い廊下。ラステルは途方に暮れた。滅多に感情を剥き出しにしないラファエは、一度爆発すると戻るのに時間がかかる。


扉の前に腰を下ろして両腕で足を抱えた。


今朝から今迄ラファエは変だ。


ラステルへの怒りも憎しみも当然だと思えるが、八つ当たりというか何か意固地になっているようによ感じる。


ラステルが今朝目が覚めたのは扉が静かに閉まる音と人の気配のせい。薄っすらと開いたばかりの瞼の隙間に飛び込んできた、普段は気丈で凛としているラファエが泣いている姿。


今朝、何故泣いていたのだろう?


セリムと何かあったのだろうか?


それを聞いてみれば良かった。


ラステルの知らないところで話し合いでもして決裂したのか。


ラステルは膝に顔を埋めた。


自分はずっと我儘で傲慢だった。言いつけを守らず蟲森を毎日のように散策した。素直に従っていればセリムには会わなかった。このような外交問題を引き起こさず、ラファエを傷つけなかった。この先ラステルが何を選んでもラファエもセリムも誰かを傷つけるだろう。


なのに後悔が出来ない。


ラステルは蟲が好きだ。村人よりもずっと蟲の方がラステルに優しい。蟲森は村に居場所のないラステルを受け入れた。だからセリムはラステルの特別で、唯一の理解者だ。何年も昔からずっと見てきた。


怪我をした蠍蟲を介抱した人。


蟲森を歩き、植物を観察し、蟲を警戒しながらも敬意を払っているのをいつも遠くから見ていた。てっきり他の村の人だと思っていつか話したいとこっそり見ていた。自分と同じ変わり者。ああ、それなら良かったのに。同じ世界に生まれていれば選択なんて必要なかった。


かといって村が嫌いな訳ではない。父親はラステルに愛情を注いでくれた。ラステルも義父を愛している。村からも蟲森からも離れたくない。


セリムがこの国を捨ててラステルと共に村で暮らすとは思えない。崖の国には彼が必要だ。本人がそれを一番理解している。セリムは一度だってラステルの村へ来たいとは言った事がない。それが答えだ。


私達はお互い捨てられない。


「ラステル?」


丁度考えていた人物の声にラステルは顔を上げた。慌てて涙を指で払った。セリムが駆け寄ってくる。後ろにアシタカの姿が見えた。


「ラファエさんと喧嘩した?」


セリムが屈んで右手の親指の腹でラステルの涙をなぞった。


「困ったな。話があったのに。」


「姉様に?何を?」


セリムがラステルの顔から手へと目線をずらした。


「ラステルその筒……。」


セリムは中身を知っている様子だ。そうかラステルより先にセリムに同じ話をしたのだ。でもラファエが泣いた理由は想像できない。しかしセリムの返事はきっとラステルと同じだ。


「今朝姉様と何を話したの?」


「ラステルと共に生きたいから手助けして欲しいと頼んだ。彼女のお父さんと話し合う予定で。ごめん勝手に。」


ラステルは大きく首を横に振った。ラファエはセリムには話し合いを認めた。ラステルに渡された筒も同じ意味だろう。なのに何故あのように拒絶ばかりを繰り返したのか。


「姉様ね今朝泣いていたの。心当たりある?」


セリムは困ったように眉毛を下げた。


「先回りして彼女の切り札を奪おうとしたからそのせいかもしれない。1人で色々抱えてるところに僕が不躾に踏み込んだ。混乱しただろうし悩ませて泣かせたんだと思う。さっきは謝れなかったから謝りたいけど今は難しそうかな?」


「多分。私あんな姉様見たことがない。」


冷静沈着で物怖じしないラファエの取り乱し様。感情を剥き出しにする姿も初めて見る。ラファエはラステルの知らないセリムの姿を見たのだろうか。


セリムの言う怯えた涙、とは思えない。セリムを嫌いかと尋ねたがそれも違う気がした。けれどもセリムの解釈も不正解だろう。答えだけが分からない。セリムがラステルの後ろの扉へ目線をずらした。難しい顔つきで少し唸った。


「ねえセリム。話し合いって?」


「僕とラステル。この国と君の村。いつか君の村へ行きたいと思っていたし挨拶しないと。暮らすって選択肢だって……ラステル?」


ラステルは暮らすと聞いた途端にセリムに抱きついた。


「来たら殺されるかも。」


「うん。そうだな。」


「この国が襲われるかもしれない。」


「うん。分かってる。よくよく話をしないとな。決裂させないように。」


「私達が離れたら一番丸く収まるわ。」


「それでもそれだけは嫌なんだ。同じ気持ちなら一緒に道を探そう。もがきたいんだ。」


ラステルはそっとセリムから離れて顔を上げた。それから小さく頷いた。セリムが嬉しそうに笑ってラステルの髪を撫でた。


「逆も同じよ。」


理想や夢は努力しなければ届かない。2人とも諦めたくないならきっと強く歩いていける。


「それで。その前に僕は戦争に行かないといけない。」


「え?」


「更にその前に争いを止めに行く。」


「あの。どういうこと?」


「西で戦争が始まったら恐らく大陸中が争い始める。その前に食い止められるか試すつもりだ。考えが違っても理解し合える方法がきっとある。信じたい。」


戦争。何が起こっていてそれとセリムがどう関係あるのだろう?セリムの決意に満ちた青い瞳。ラステルが何て返事をしても決断は変わらなさそうだ。そして信じたいという言葉がすとんと胸の奥に落ちた。


「おいセリム。もう少し詳しくと言うか唐突過ぎてラステルさん困ってるぞ。」


アシタカの存在を忘れていた。ラステルは恥ずかしさで俯いた。抱きついたのも見られ、会話も全部聞かれていたはずだ。でもセリムから離れなかった。互いに手を握ったまみ見つめ合う。


「いいの。セリム続けて。」


「えっと。」


「争いを止めるのよね。」


「そう。それでその前に3人で蟲の民について話を聞いてみようと。」


「蟲の民……。そう蟲の民!」


ラステルはアシタカを見上げた。アシタカは戸惑った様子だった。


「セリム。ラステルさん。えーとあの今その話?」


ラステルは立ち上がった。それからアシタカに向き合った。


「私セリムとペジテに行きます。」


ラステルは決断した。セリムが選んだのは険しい道だろう。まだ理解しきれていないが大陸中の争いとなれば蟲森の民も傍観はしない。少なくともグリークを筆頭にホルフル蟲森からは参戦する。セリムとこのまま一度離れたら多分もう二度と会えない可能性が高い。


「え?」


ラステルの突然の発言にアシタカが目を丸めた。セリムもアシタカと同じ驚いた声を出した。


「いやラステル。僕は待ってて欲しいって言おうと思って……。」


ラステルは立ち上がって寄ってくるセリムを手で静止してアシタカをじっと見つめた。


「蟲の民って何ですか?」


アシタカがラステルを探るように見つめる。


「ペジテに伝わる伝承。蟲を操り蟲と生きた一族。」


ラステルはゆっくり息を吸った。ラファエとは決別する事になる。いつも優しかった乳姉妹のラファエ。怒りも憎しみもきっと心配の裏返し。ラステルはごめんなさいと胸の中で呟いたら。


「私は蟲森で暮らしています。」


アシタカの足がほんの少しラステルから離れた。無意識のようでラステルがアシタカの足元を見るとバツが悪そうに苦笑いした。


「そうか蟲の民は蟲森で暮らしていたのか。見つからない筈だ。」


「違います。蟲森の民はかつて争いに敗れて住む場所がなくなり蟲森で暮らすしかなかった一族。蟲に怯え外界に憧れると同時に憎んでいる。蟲森の民が蟲の民なのかは知りません。」


アシタカが唸った。セリムがアシタカとラステルの間に立って様子を窺う。


「そうか。なら君を父に会わせたい。君は何かまだ隠しているだろう?」


「アシタカさんも。」


お互い頷く。理解し合いたいなら飛び込むしかない。ラステルはセリムに顔を向けた。先程のアシタカ同様戸惑った様子でラステルを見つめている。


「これでアシタカさんは私をペジテに連れて行くわ。セリム?もう置いていけないわよ。」


セリムは大いに不満そうだ。


「セリムはこの国も仕事も研究も私も全部置いて行くと決めたんでしょう。なら私も全部捨てる。」


苦しい思いで待つなら、身の危険を選ぶ。どの道争いが始まれば安全なんてラステルにはない。


「危険だ。必ず帰ってくる。だから-……。」


「セリム。大陸中が争い始めたら蟲森の民も外界の混乱を好機と見て地下から出てくる。私はきっと先陣に立つ。それなのに私を置いて行く?」


「ラステルが先陣に?」


「蟲が使われるなら止める。そのために奔走する。」


セリムは口ごもった。それから「この国で待って」と呟いて口を閉じた。なんの解決にもならない。ラステルを求めて崖の国に火が及ぶだけだ。


「分かった。側にいて守るしかないな。ラステルがこんなに強情で行動力があるなんて知らなかった。」


「セリムと再会出来たのもそのおかげよ。私もきっと守るわ。」


「あはははは!決断が早いのも強情なのも似た者同士だな!まとめてペジテで面倒みよう!歓迎するよラステルさん。」


アシタカが大笑いしてセリムの肩を叩いた。セリムはまだ腑に落ちなさそうだ。ラステルはセリムの手をそっと握った。観念したと言うようにセリムはきつく手を握り返してくれた。


いつか後悔するだろうか。


きっとしない。




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