第5話

「ハッ!! 私はいったい何を!!」


「また暴走してたわよ。まったく、どうしてアンタはそう思い込みが激しいのよ」


「ふふっ、どうやら、また私の知らない私が、師匠に迷惑をかけてしまったみたいっすね!!」


「そういうところ頼むからほんと直して」


 影のある微笑を見せるノエルに、呆れ顔でクローデットはつっこんだ。

 

「どうでもええから、はよ、魔法やってくれんかのう」


 そんな二人に、怒り心頭という顔でつっこんだのは王。

 ノエルの遅刻で遅れている上に、この茶番である、正直面白くない。


 はいはいただいまと、宮廷仕えの魔術師であるクローデットは、愛想笑いで彼の前へと出てきた。


「えぇ、それで、今日はいったい、何を召還すればいいんですか?」


「くくっ、誰も思うまいて。まさか、国王が既に魔王の傀儡かいらいとなり、我が師匠に手伝わせ魔物を現世に召還させているとは」


「冗談でも人聞きの悪いこと言わないでくれる、ノエル?」

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