第20話 邂逅

 遙か昔に滅び去った摩天楼が、黄昏の光を帯びて美しく染まる。


 修繕に必要な機材と技術が喪失し、後は崩れ落ちるのを待つのみとなった数多のバベルの塔。それは、眼下の廃墟に多くの影を落とし、ただでさえ暗くなり始めた街中をさらに深い闇に沈める。


 かつて築き上げた繁栄など微塵も感じさせないほどに朽ち果てた街。


 その元を小さな人影が二つ、短い会話を交わしながら歩いていた。



「全く、身の程知らずの馬鹿共をメッタクソにしてやっただけだってのに何で僕が非難を受けなければいけないんだ」



 まるで四方から囲まれ、棒でメッタ打ちにされた後のように身体をよろめかせながら、雪兎は力無く零す。折角借りた背広は埃と血液で汚れて台無しになってしまっているが、無論この血潮は決して雪兎自身のものでは無い。



 全ては、招かれざる客が引き起こした騒動の結果である。


 貧困層の子供を商品のみならず、非合法手術を施し己の私兵として利用する外道共の襲来。本来なら筆舌に尽くし難い惨状が繰り広げられたに違いないが、雪兎が鉢合わせたことによって外道共のささやかな愉悦は無限の苦痛に転化した。


 小型害獣相手ならばドラグリヲどころか、素手で殺せるようになった雪兎にとって、雑多な火器で武装しただけの素人半グレ集団などただの玩具に過ぎない。


 おまけに彼らが常日頃から行っていた非道は、雪兎を心の底から激昂させるには十分過ぎた。かくして圧倒的な正当性を得た暴力の権化は外道共を容赦無く蹂躙し、首魁から末端構成員まで余さず虫の息にした挙げ句、被害者遺族の眼前に突き出したのであった。



「僕はただ守るために最善を尽くしただけだってのに」


「そんなに引き摺らないの。 どうせあの人達も自分の言ったことなんて明日には忘れてるわ」


「そうかなぁ、このまま謂われのない誹謗中傷だけが一人歩きして単なる化け物扱いされるようになっては困りますよ」



 こうするしかなかったと必死に弁明したものの、余りに一方的な戦いであったことが災いし、雪兎が被害者遺族以外の大勢から浴びせられたのは、感謝では無く心ない非難の数々。


 そのせいか雪兎の心は荒いヤスリで削られたようにささくれだち、隠し切れない苛立ちが語気に混じる。 そんな雪兎を、哀華は苦笑しながらも優しく慰めた。



「大丈夫よ、諦めずに接し続ければいつか必ず信頼されるようになるわ。


 だからほら、何時までも気にしてないでシャキッとしなきゃダメよ」


「いつかねぇ、それが一体何時になることやら……」



 常に雪兎の半歩後ろに付いて歩きながら、上品にクスクスと笑う哀華。


 そんな彼女へとぶっきらぼうに返しながら、雪兎はふと空を見上げた。



「全く、世の中自分の思い通りにならないことだらけだな……」



 視線の先にある気に入らないものを憎らしげに睨み付けながら、雪兎は呟く。


 眼前で聳え立つ双頭の巨大なビルの先端、そこには夕日を浴びて体表を真っ赤に燃え上がらせる2匹の竜が居た。


 まるでそこが自分達の玉座であると主張するかのように、化け物共はそれぞれくつろげる姿勢を取りながら静かに目を瞑っている。



 人類を強く憎悪し、分かり合う余地など存在するはずが無い不倶戴天の敵。


 しかしそれは、何故か旧都を滅ぼすことなく街に居座り続けていた。


 駆除しようにも太刀打ち出来る兵器の類が存在せず、調子に乗って歯向かった反社会勢力が拠点ごと跡形も無く消滅させられた事から、立ち向かう意思のある者は誰一人として存在しない。


 故に現在、旧都はあらゆる勢力が手出し出来ない空白地帯と化している。



 だが、その支配の思わぬ副産物として、あれほど荒れに荒れていた旧都の治安は劇的に改善と向かっていた。


 大型兵器をうかつに動かすと物理的に消滅させられてしまう故か、以前なら頻繁に耳にした砲弾の飛翔音など全く聞こえず、無人兵器による偵察すらまばらである。


 代わりに道を行き交うは、貧しい身ながらも今を逞しく生きる人々。


 物騒な輩がまとめて消え失せた事が幸いし、今まで抑圧されて来た分を取り戻すかのように時折すれ違う彼らは意気揚々と街中を往く。



「せんせー!にいちゃーん!!」



 そんな折り、未発達な子供特有の甲高い声が背後から響き、それに釣られて二人が向き直ると、襤褸を纏ったちびっ子達が息を切らせて二人の元へと駆け寄って来た。


 本日の授業中、教室の最前列で話を聞いていた仲良し三人組。


 彼らはキラキラと大きな瞳を輝かせながら、雪兎の顔を見上げる。



「おにいちゃんすごいつよいねぇ!わるいやつらをやっつけたときすごかった!」


「なぁに兄ちゃんが強かったんじゃない、奴等がへっぽこ過ぎただけさ。


 それで、僕に何か用なのかい?」



 手放しに賞賛されたことが嬉しかったのか雪兎は思わず表情を綻ばせると、話しやすいようにしゃがんで目線を合わせながら問い返す。


 すると、チビッ子達はもじもじと世話しなく身体を動かしながら口を開いた。



「あのね、おねがいがあるの……」


「ぼくらのあそびばに、おばけがでたの。


 ちかくであそんでると、うーうーっていうんだ!」


「だから、なんとかしてください。 ママたちはきのせいだっていうけど、ぜったいになにかいるんです」



 野球帽を被った活発な少年とピンク色のリボンで髪を縛った少女が身振り手振りを交えて説明し終えると、その背後に立っていたのっぽのメガネ少年が、丁寧な口調でお願いしつつ頭を下げる。


 周囲に相談しても鼻で笑われ続け取り合ってくれなかったのか、祈るような表情で雪兎の顔を拝み続ける三人。



 その必死な様を見て、放ってはおけないと雪兎は三人の願いを二つ返事で請け負った。



「任せろ。 悪いお化けはお兄ちゃんが必ずやっつけてやる」


「ほんとう?やったー!」



 初めてまともに取り合ってくれた大人の返事に、チビッ子達はぴょんぴょんと何度もジャンプしながら全身で喜びを表現してみせる。


 一切の邪さが感じられない、無邪気で屈託のない笑顔。


 それを見ると、雪兎も思わず笑みを漏らさずにはいられなかった。



『いいんですか?そんな安請け合いをして。 お金なんかビタ一文も期待出来ませんよ?』


「別にいいさ、彼らが嘘を付く理由があるなんて思えない。


 それに、何らかの手違いで紛れ込んだ害獣の仕業だったらどうする?」


『まぁ、確かに無いとは言い切れませんが……』


「だろう?何事も慎重過ぎることに悪いことなんてないさ」



 パワードコートに化けたカルマが零した声に小さく反論しながら、雪兎はゆっくりと立ち上がる。すると、それを見たメガネ少年はポケットに収めていたメモ紙をそっと差し出した。



「これは?」


「パパからかりたビーコンのシグナルIDです。もしだれかがおねがいをきいてくれたとき、ぼくたちがいるとしごとのじゃまになるかとおもってまえもっておいておいたんです」


「分かった。わざわざありがとうな坊や」



 準備の良いメガネ少年を褒めてやりながら、雪兎はパワードコートの袖口に付けられた擬似モニターに目をやる。


 そして配置されたビーコンの位置を確認すると、思い切り地面を踏み締め、脚のバネに力を込めた。



「哀華さんはこの子達を親御さんの所へ送ってあげてください。 すぐに済ませて戻ってきますから」


「気を付けて……」


「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫ですよ。


 ただの見回りでヘマをするほど、落ちぶれちゃいませんからね」



 表情を曇らせる哀華を励ますように軽口を叩くと、雪兎は宙高く身体を跳ね上げた。その超人的な行動に感嘆した子供達の歓声が背中を叩き、雪兎の士気を大きく引き上げる。


 崩落しかけた壁を蹴りつつ、飛ぶように宙を駆け抜ける雪兎。


 本人からしてみれば十分加減しているが、人の生活圏で出す速度にしてはあまりに速く、出発から数十秒も経たぬうちに目的地へと到着してしまった。



 かつては住人達の集会所として使われていたらしき荒れ果てた大広間。


 しかし、住民の居なくなった現在となっては勝手に入り込んだ子供達の秘密基地になっているらしく、食べ散らかされたお菓子の袋や、使い古された玩具があちこちに散乱している。


 大人の目を盗み、好き勝手なひとときを過ごせる子供だけの天国。


 だが、今は幽霊騒ぎのせいか誰もおらず、ひっそりと静まり返っていた。



『レーダー内に誘導ビーコンの本体を確認。


 ここが目的地である事に間違いは無いみたいです』


「パッと見て異常は無いように見えるが約束は約束だ。しっかり見回ってから帰るからな」



 延々と電波を発信し続けるビーコンを止め、コート内から身を乗り出しながらカルマが呟くと、雪兎はそれに静々と返しながらクリアリングを開始する。


 しかし、隠れる場所など大して無い集会所の探索などタカが知れており、可能な限り丁寧に捜索してものの10分足らずでほとんどの場所を見終えてしまった。



「ふぅ、やっぱり気のせいだったか。 大方、風の音か何かを聞き間違えたんだろうよ」


『とんだ無駄足に終わりましたね。 全く、一体何を考えていたのでしょう』


「そう言ってやるな。 あの子等だって悪気が合って言った訳じゃないさ」



 ムスッとした顔でカルマが愚痴ると、それを宥めるように雪兎は首を振りながら口を開く。子供の頃、誰しもが一度は感じたことがある超自然的な恐怖。それは、成長の過程で誰もが経験するものなのだろうと考えたが故であった。


 しかし、そんな物とは一切無縁なカルマはそれが納得出来ないらしく、ブーブーと文句を垂れる。


 そんなカルマをやんわりと宥め続けながら、雪兎は侵入時に利用した窓から身を乗り出し、哀華の元へ戻ろうと脚に力を込めた。



 ――が、今まさに離陸しようとした瞬間、微かに鼓膜を叩いた重低音が雪兎の動きを止めさせた。



「……!?」



 明らかに風の音では無い異音に戸惑い振り返ると、雪兎は再び耳を澄ませる。


 すると、何かが唸るような不気味な音が何処からか聞こえてくる。



「前言撤回。 居るな、確かに何かが……」



 誰かに目撃されることを警戒してか左腕には頼らず、ククリナイフを鞘から抜くと、雪兎は足音を立てないように慎重に音源へと近づいていく。


 小さいながらも、身体の底にまで響くような強く重い音。


 それは、何故か板で厳重に打ち付けられた扉の向こうから漏れて来るようだった。



「嫌な予感しかしないが、やるしかないか」


『怖気づきましたか?それとも何ですか、貴方もお化けなどという非現実的な物を信じていると?』


「馬鹿な事を言うなよ、後で警備隊にどやされるのが億劫なだけさ」



 ご丁寧に今までぶっ壊してきた物の被害額をメモされていたことを思い出し、若干憂鬱な気分になりながら雪兎は分厚い板に足を掛ける。


 そして、意を決して扉を蹴破ると、ナイフを握った手に力を込めながら突っ込んだ。遮る物が無くなったことにより、さらに力強さを増す唸り声。


 それの根源を断つべく、雪兎は思い切り牙を噛み締める。


 だが、その唸り声の正体を目撃した瞬間、今まで抱いていた殺気がたちどころに失せた。



「子供だと……?」



 思わず動揺の言葉を洩らしながら、雪兎は瞠目し立ち尽くす。


 そこには、ボロボロの服を纏った褐色肌の少女が、胸に熊の人形を大事そうに抱き、静かに座り込んでいた。


 一見、普通の幼子と大して変わらぬ姿をした儚げな雰囲気の少女。


 だが、時折体内より不自然に盛り上がり脈動する瘤が、彼女が普通の人間でないことを証明していた。


 物音に気が付き、ふと首をゆっくりと動かす少女。


 彼女は雪兎の姿を視界に収めると、怯えの色を顔に浮かべながら口を開く。




「お兄さん……誰……? 私に……何をする気なの……?」



 そう少女が呟いた瞬間、彼女の背の皮膚を突き破って生えてきた山椒魚の頭のような物体が大きく鎌首を擡げて雪兎を威嚇する。


 その瞬間、雪兎は彼女が自分と同類であることを理解した。


 獣の血肉に身体を蝕まれた、忌むべき存在であることを。



「……っ!」



 今までの戦いの経験からこいつも厄介な能力を何かしら持っていると悟り、雪兎は思わず2、3歩後ずさる。 しかしすぐさま武器を収め、敵対心が無いことを態度で強調し、必死に少女へと言い聞かせた。



「落ち着け!大丈夫だ、僕は君の敵じゃない。僕は君と同じなんだ、だから君を傷付けるなんてことは絶対にしない」


「……同じ?」


「そうとも、これがその証拠だ」



 少女の問いに雪兎は力強く頷いて見せると、左腕を覆う長袖をまくって見せた。


 鍛え上げられた鋼のように強靭で、鏡のように美麗な光沢を持った異形の篭手が夕日の元に晒される。



「綺麗な鱗……私と全然違う……」



 それを目にした少女は表情を曇らせて呟く。 自らの身体にときどき隆起する肉塊を蔑み、雪兎の左腕を羨む様に。


 まるでジュエリーの類を見るかのように向けられる視線。


 それに、雪兎は苦笑いをしながら返した。



「そんなに良いモンじゃないさ。 これのせいで温泉にも行けないし、油断すると簡単に物を壊してしまうからね」



 軽く左手を握ったり開いたりして見せながら、雪兎は少女に目線を合わせ微笑みかける。 すると、少女の背中より生えていた巨大な怪物の頭は、殺気を一切出さずに語り続ける雪兎を取り敢えず信用したのか、大きく欠伸をして見せると溶けるように少女の体内へと収まっていった。



 その瞬間、張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、少女は力無くその場に横たわる。



「なっ……、おい大丈夫かい!?」



 すぐに彼女の側に寄り、小さな身体を抱きかかえてやろうとする雪兎。


 しかし、いつの間にか左腕が自分のコントロールを受け付けないようになっていることに気が付くと、反射的に少女から距離を取った。


 刹那、左腕内部の筋肉が勝手に脈動し、巨大な爬虫類の大顎へと変貌を遂げる。


 それは、力無く横たわった少女を見て舌なめずりをすると、強靱な身体をしならせて、牙を剥き出しにした。



「……ッ」



 だが、それは最もやってはいけない悪手だった。


 弱った少女を一方的にいたぶろうとするかのような心底腐り切った行為。


 それは、未だ傷跡の残る雪兎の心を燃え上がらせ、一気にヒートアップさせる。



「何のつもりだ?このクズ野郎!」



 反射的に左肩を全力で引き、化け物の頭部を自らの方へと引き寄せると、そのまま向かってきた頭に全力で鉄拳を叩き込んで怯ませ、ドスの効いた低い声で罵った。



「テメェ、今までずっとツラ出さなかった癖にここぞとばかりに出て来やがって。 確実に勝てる相手じゃ無いと出て来れないのか!?恥を知れよ!」



 多くの人々を手にかけざるを得なかった負い目から、誰かを守り抜くという行為に強い執着心を抱き始めていた雪兎。


 その荒んだ心から滲み出た憎悪は、雪兎の自制心を麻痺させて衝動的に突き動かした。下劣で姑息で卑怯な化け物が自慢気に剥き出しにしていた牙を根本からへし折り、目、鼻面、口の中に至るまで容赦無く滅多刺しにする。


 滝の様に噴き出た血潮が室内を汚し、雪兎の身体を止めどなく濡らしていく。


 やがて、これでトドメとばかりに雪兎が拳を振り上げた瞬間、少女のか細い声がそれを制止させた。



「駄目……、これ以上やったら死んじゃう……」


「構うか!ここでカタを付けてやる!」


「違うの、そいつをやっつけたらお兄ちゃんだって一緒に死んじゃうんだよ!」


「ッ!」


「それに、この子は私を殺すために姿を現した訳じゃない。


 彼がそう言ってくれているの……」



 へし折った牙を持ったまま唸りを上げる雪兎の足元に縋りつき、首を振る少女。


 その背中から、再び化け物の頭が生えて来る。


 遙か昔、地球に存在していた大型両生類を思い起こさせる錆色の怪物。


 雪兎に宿った獣とは違い、ぬめった光沢を纏ったそれは、雪兎の左腕と同化した怪物が流す血を少し嘗め取ると、機嫌の良い唸りを上げながら再び少女と同化していった。



「何だ?今一体そいつは何をしたんだ?君は一体何者なんだ!?」



 次から次へと疑問が浮かぶも、余計な警戒心を抱かれないよう慎重に言葉を選びながら、雪兎は根気強く問い続ける。だが、少女は表情を曇らせると静かに首を横に振った。



「私の名前はヴィマラ。それだけしか知らないし何も分からない。


 私……、どうしてここに居るの?何時からここにいたの?」



 必死に考え込みながらも何も思い出せないのか、少女は頭を抱え込みながら呟く。



「………」



 記憶喪失なんてそんな馬鹿げた事があるはずが無いと、雪兎は一瞬考え疑うも、皺一つ無い綺麗な眉間から時折隆起する肉塊を見て、彼女の身に何が起こっているのか察し、唇を噛む。


 そして、自分を異形の存在へと仕立て上げたクソジジィの顔を思い起こし、立ち上がった。



「兎に角、このままここに居ても埒が明かない。


 ひとまず僕の知り合いのお偉いさんの所に行こう。


 そこなら安全だし、何より君の事だって知っているかもしれない」



 僅かに表情を柔らかくした少女の頭を撫でてやりながら、雪兎はふと微笑む。



「本当?一緒に居てくれるの?」


「勿論だ、兄ちゃんが命を賭けて君を守ってやる」



 疑念と恐怖に揺らいでいた少女の瞳に僅かずつ光が射し、おどおどした雰囲気が消えていく。そして、二人の間に和やかなムードが漂い始める。



 その瞬間、雪兎の耳元にカルマのむくれたような声が届く。



『全く、またそんな安請け合いをして……。


 面倒なことに巻き込まれても知りませんよ』


「もう巻き込まれてるから観念しろ。


 それに、このまま放っておく訳にもいかないだろう?


 このまま放っておいて、奴等みたいになられても困るからな」



 人間に絶望し、獣へと身を堕とした二人の男の背中が思わず脳裏をよぎる。


 しかし、それを必死に振り払うと雪兎は自身に言い聞かせるように呟いた。



「守ってやる。 僕が必ず守ってやる」



 今度こそはという強い誓いが、傷付いていた雪兎の心を奮い立たせる。



 その心を顕すかのように、雪兎の背中を燃えるような夕日が照らし続けていた。

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