獣たち

服を着た獣の群れがエサを食べている。

皿の上に肉や魚、野菜などを盛りつけ、

ナイフやフォークを使って器用に食べる。

理性的なつもりのなのだ。

文明的なつもりなのだ。

彼らは気づいていない。

あるいは気づいていながら知らないふりをしている。

自分たちが獣であることに。

誰かを傷つけることに喜びを感じ、

敵を排除することに安堵感を覚え、

邪魔するものには憎悪と憤怒を向ける。


彼らは地獄という言葉を発明した。

地獄とは、彼らが生み出した現実にほかならない。

では、天国とは、愛とは何か。

彼らが作った虚構を守る、祈りである。


そんな虚構に生かされている私もまた、獣なのだ……。

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