第36話「人という名のキセキ」

 宇宙戦艦コスモフリートの艦内は騒然としていた。

 行方不明となっていた皇都スメラギミヤコの帰還と、それを支援してくれた協力者の存在。そしてなにより、未だに戻らぬ東堂千景ドウドウチカゲ真道歩駆シンドウアルクのことが気がかりで、誰もが皆落ち着かない。

 それは勿論、マモルも同じだった。

 むしろ、彼女にとっては歩駆のことこそが、一番に心配だったのだ。


「はい、これ! 今夜の夜勤ローテの分、終わりました!」

「ありがと、マモル。サンダー・チャイルドに運ぶ方は分けておいてくれた?」

「バッチリだよっ」


 広大な宇宙を旅するコスモフリートのキッチンは、お世辞にも広いとは言えない。それでも、数百人分の食料を常時まかなえるように効率化が図られていた。無重力下は勿論、本来運用の想定されていない1Gの大気圏内でも、その機能美が損なわれることはない。

 エプロンを取った渡辺篤名ワタナベアツナの笑顔に、自然とマモルも頬がほころんだ。

 だが、それが強がりであることがすぐに見破られる。

 こういう時、子供というのは人一倍鋭敏な感覚を持つというが、本当だろうか? マモルにはそれはわからない。それは、マモルがあくまでもイレギュラーな存在で、そのことを今は人に知られる訳にはいかないから。

 だが、忙しい食事の準備を終えたマモルを、仲間たちが囲む。


「マモルさん、あとはやっときますから。早く食堂に行ってください」

「そうだよぉ、さっきからソワソワしてるもんなぁ。それってやっぱりさぁ」


 ミリア・マイヤーズの言葉に、独特ののんびりとした口調でテオドア・グニスが追従する。二人も調理場の手伝いでエプロン姿だ。

 ミリアはよく気が利くし、小さい頃から共同生活をしているせいか責任感が強い。テオドアは呑気でマイペースな食いしん坊だが、この非常時でよくやってくれていた。

 マモルたち非戦闘員にとっても、毎日は戦いだ。

 ここには、ドバイから一緒に飛ばされてしまった市民たちもわずかだが乗っているし、雑多な組織から寄せ集めのような大所帯になって、リジャスト・グリッターズも忙しい日々が続いている。加えて、異世界とも言える惑星"ジェイ"……もう一つの地球に来て、目に見えぬ疲労が皆に貯まり始めていた。


「じゃあ、御言葉に甘えて! ありがとっ、ミリア。テオドアも」

「ううん、いいの。……歩駆さんも、きっとすぐ見つかると思う。それに、千景さんも」

「そうだよぉ。コスモフリートのご飯は毎日美味しいし、きっと戻ってくるさぁ」


 脱いだエプロンを畳んで置くと、マモルは一礼して調理場を飛び出す。

 廊下には、ある程度の自由を許された市民たちがチラホラと見られた。皆、不安で眠れないのだろう。

 実際、リジャスト・グリッターズにとって今晩は、長い長い夜になりそうだった。

 不慣れな未開の土地でとうとう、リジャスト・グリッターズは暗黒大陸の文明圏に接触、干渉したのだ。それが後々にどんな意味を持つか、それはわからない。ただ、わからないということだけはハッキリしていたからこそ、司令官たる東堂清次郎トウドウセイジロウは慎重に行動していたのだ。


「確か、センシア神聖連邦しんせいれんぽうってのの、そのはじっこに今はいるんだっけか。……ん? あれはたしか」


 小走りに廊下を駆けるマモルは、その先に一人の少年が歩いているのに気付く。彼は酷くノロノロとした頼りない足取りで、壁に自分をこすりつけるようにして歩を進めていた。そしてやがて立ち止まり、そのまま廊下に膝を突いてしまう。

 慌ててマモルは駆け寄り、その蒼白な顔を覗き込んだ。


「大丈夫? えっと、アレックス! アレックス・マイヤーズ、だよね」

「あ、ああ……ええと、君は」

「マモルだよ! わあ、痛い? ねえ、痛いん、だよね……きっと、多分。どうしよう、誰か人を呼ぶ?」

「はは、いいよ……少し、リハビリ、さ……こんな騒がしい夜だってんなら、寝てもやれない感じだし」


 ヨロヨロと立ち上がったアレックスは、そのまま大きく肩で息をしながら壁によりかかる。やはり、まだ身体が本調子ではないらしい。確か、つい先日に大きな手術をして内臓の大半をインプラントにし、ようやく意識が戻って集中治療室から出たばかりなのだ。

 マモルには、そうまでして生きる意味が、よくわからない。

 同時に、そうまでして彼を生かした者たちのことへも、理解が及ばなかった。

 まだアレックスが歩こうとするので、寄り添いマモルは肩を貸した。


「ン、いいよ……なんか、悪いしさ」

「ううん、そんなことないよ。そりゃ、アルクには悪いなーって思うけど」

「歩駆さんは関係ないでしょうって」

「ふふ、アルクはきっとヤキモチ焼くかも。なんてね」


 マモルが目指す食堂まではすぐの距離だし、アレックスもそれくらいなら歩くと言う。自然とマモルは、生活の中心を失った喪失感から多弁になった。

 思えば、ずっと歩駆とばかり話していた気がする。

 このふねはこんなに大きくて、大勢の人がいるのに。

 だって、マモルには歩駆が……アルクが全てだから。

 だが、その彼がいなくなったことで、マモルにも決定的な変化が訪れていた。一時的に歩駆と離れたことで、逆にマモルの世界が広がったのだ。歩駆を世話する時間は仲間との共同作業になり、自然とコミュニュケーションも増えた。

 それに、リジャスト・グリッターズの皆は親切で、個性的だった。


「そういえば、さ。アレックスはどうしてそうなったの?」

「ああ、話せば長いけど……まあ、そう思ったけど、考えてみたらそんなに長くないか。ただ、仲間が守りたかった、気がする。戦闘に介入して戦争状態に加担したという、最低で最悪な手段を用いたんだけど。……守りたかったんだ。でも」

「アレックス……」


 マモルには不思議だった。

 そうまでして強い想いがありながら、代償として生身の身体を失ったアレックス。人といううつわは時に、人の想いの力という奇蹟に耐えられない。それくらい、人間の可能性というのは強くて、時に己自身をも滅ぼしてしまう諸刃もろはつるぎだ。

 だが、だからこそマモルは感心する。

 呼吸で酸素を血中に取り込まねばならず、低温にも高温にも弱く、肌は柔らかくて容易に切り裂ける。病原菌に対しても脆弱で、ふとした弾みで絶滅しかねない程に人間は貧弱な生物だ。それが、鉄の船で星の海を渡り、原子や分子の世界へメスを入れるかたわらで自然との調和をかえりみず、同族同士で争い合う。

 この醜くて美しい生物は、いったいなんなのだろうか?

 そのことをマモルはつい、別の意味へ組み替えて口に出してしまった。


「ねえ、アレックス。もし、さ。もし……その身体が元に戻るとしたら、どうする?」

「え? いやあ、それは……仮定の話にはなかなか答え難いな。なんて言えばいいか」

「アレックスがさ、本来持ってたアレックスの身体、そういうのを……。ね、そういうことだって可能性なんだと思う。どうするのかな、って。アレックスはその時、なにを選ぶのかなって」


 だが、答は意外な言葉だった。

 アレックスは汗ばむ額を手の甲で拭うと、少し歩調を強めた。


「……僕は、選ばない。まだ、選べない」

「え? どうして」

「答にならないだろうけど、二者択一というのは僕には不自然過ぎるんだ。なんだってそうだろ? 僕の問題に限ったことじゃない、問題をシンプルに明文化したつもりになって、YESかNOか、0か1か……世の中には、二つの地球の片方を選べなんて言う奴もいるさ」

「う、うん」

「でも、ただあるままを選んでいったって、選ばせた者の外に、向こうにはいけない気がする。だから……こうしてままならない身体も引きずってみてさ。考えてるんだよ」

「そう、なんだ」


 不思議な言葉にマモルは、不可思議な程に納得を感じてしまった。

 そして、やはり人類が特異な存在で、その一人一人に大きく興味をかれる。そのことを正直に話したら、は歩駆が行ってしまった地球へとマモルを連れてきてくれた。

 意外とこの世には、アレックスのような暗中模索の中を進む人間が多いのかもしれない。

 逆に、そうであるなら自分もまた人間と言えるのかもしれないとマモルは思った。


「なに? マモルさん、笑って……やっぱりおかしいですよね」

「ううん、ちっとも。ただ、なんとなくわかった気がしたんだ。人間が持つ無限の可能性っての、やぱり面白いなって。あの人も多分、そのことを知ってるんじゃないかって」

「あの人?」

「うん! ボクを歩駆にわせてくれた人。きっとあの人も来てると思うな。二つの特異点とくいてんを結びし特異線とくいせんは、時間と空間、次元を超えて顕現けんげんするかもしれないから」


 そうこうしていると、食堂の騒がしさが近付いてきた。

 そして二人の前を、食堂から出てきた一団が横切る。彼らは去り際にもう一度食堂を振り返ると、指差し怒鳴って声を荒げた。


「とにかくっ! 今後はワシ等にも相談して欲しいものですな! まったく、妙な場所まで飛ばされた挙句あげく、軍艦暮らしとは」

「帰れるあてもないまま、放浪しろっていうんでしょうか? ホント、これだから軍人って嫌なのよ。市民を守る義務をおろそかにしてますわ!」

「説明も不十分で軍艦に閉じ込められてりゃ、文句の一つも言いたくなるってんだ。こちとらドバイで休暇中だったんだからな」


 大人たちの一団は、吐き捨てるような言葉を残すと行ってしまった。

 その背を見送るマモルは、肩をすくめて溜息ためいきしてみせるアレックスを見ることしかできない。それでも食堂に入ると、疲れた顔の清次郎が笑顔を見せてくれた。


「ああ、マモル君。済まなかったね……あまり気持ちのよくないものを見せてしまった。ここに来たのは、歩駆君のことだね? アレックス君もまあ、座りたまえ」

「はあ……あの、今の大人の人たちは」

「よそう、マモル。色々とあるんだ。人が集まり不安にさらされれば、ヒステリーやパニックだって散発するしさ。そういうのって、どうにもならないから、やるせないし」


 マモルの手を借りてアレックスは椅子に一緒に座り、一休みに大きく息を吐き出した。

 この場には、リジャスト・グリッターズの実質的な司令官である清次郎と、その副官みたいなものに収まってしまった御堂刹那ミドウセツナ、そして見慣れぬ顔が何人かいる。

 パイロットの多くは、この港町に入り込んでしまった、二隻の巨艦を警護している。

 それに、現地の人間と不用意な衝突が起こらぬよう、互いの人間を派遣したそうだ。こちらから町の方へ降りた者たちは、サンダー・チャイルドのヨゼフ・ホフマンが代表になって話を説明してくれている。同時に、町の治安部と呼ばれる自警団のような組織から、責任者が来てくれていた。

 少し年嵩としかさの、厳しい表情を強張らせる女性がそうかと思った、その時だった。


「……さっきの話、本当なのかよ。だって、俺は……僕は、そんなふうには見ててなかったし。嘘だろ……コーネルが。嘘だと言ってよ、義母かあさん」


 見れば、動揺もあらわな少年が一人……服装から察するに、恐らく例のゼンシア神聖連邦とかいう集合国家の、国境沿いの港町から来ている人間だ。その特異な特徴に、マモルは目を丸くした。

 少年はオッドアイ、左右で瞳の色が違った。

 琥珀こはくを閉じ込めたような右目と、空と海をなまぜにしたような左目。

 そのどちらも今は、うるんで彼の見ている世界を滲ませていた。

 そして、少年が義母と呼んだ女性が静かに応える。


「事実よ、ミスリル。貴方あなたの軽率さが彼を殺した……でも、そのことを今はとがめません。……あとでコーネルに挨拶してらっしゃい。今、町の方で綺麗にしてあげてるから」

「義母さん、僕は……無我夢中で、それで」

「あの白い操御人形、ジェネスとか言ったわね。乗りこなそうと必死だったのでしょう。そうだと思うからこそ、最後にお別れくらいしておきなさい」


 マモルにもはっきりとわかった。

 ミスリルと呼ばれた少年にとって、大事な人が死んだのだ。

 そのことがまだ、マモルには実感としてイメージできない。マモルは、マモルだけは今、この場で生死の垣根かきねが存在する摂理に生きていないからだ。

 そうではないように生まれてしまったことも、今は秘密だ。

 ただ、唇を噛んで床の一点を凝視し、固く両の拳を握り締めるミスリル。その頬を伝う光を、マモルは黙って見詰める。そうしていると、静かに声が空気を震わせた。


「ミスリル、よね? 確か、ミスリル。あなた……さっき、私も話を聞いたわ。私のジェネスで人を殺したのね」


 振り返るとそこには、白い服の少女が立っていた。

 翠緑色ジェイドグリーンの髪の、りんとしたたたずまいにマモルも息を飲む。彼女は包帯で巻かれた腕をさすりながら、食堂へとやってきた。

 そして、ミスリルの前までくると、そっと彼の手を握る。

 己の爪が食い込むほどに握られた、拳を両の手で包む。


「運命だったとしか……今はそう考えて、次のことを、先のことを考えないと――」

「そうやって、俯瞰ふかんしてくれるなよ! そうさ、殺してしまった……いっつも、先輩、先輩って。コーネル」

「これだけは覚えておいて、ミスリル。ミスリルは大切な人を殺してしまったけど……同時に、私を助けてもくれた。さ、今は祈って……クラインにも死者への手向けの祈りくらいはあるでしょう?」

「やめてくれっ!」


 ミスリルは、シファナの手を振り払った。

 そのまま彼は食堂を出てゆく。目の前を通り過ぎるミスリルの姿に、思わずマモルは立ち上がろうとしたが、アレックスが黙って止めて首を横に振る。

 そして、去り際に一度だけ振り向いて、ミスリルは叩きつけるような言葉を残して去った。


「クラインにも、か。祈りくらいは、か……望みと願いでできてる姫巫女ひめみこさんから見ると、そういうふうなんだろうな! ……ごめん。でも、あとはみんなで話しててくれよ。僕は、一度降りる」

「ミスリル……」


 去りゆくミスリルへと伸べようとしたシファナの手は、巻いた包帯に赤い血の色のがほのかに滲んでいる。その手を自分のもう片方の手で包んで、シファナはうつむいた。

 だが、すぐに顔をあげると、清次郎や刹那に向き直る。

 強い女性なんだなと、マモルは驚くと共に、少し悲しかった。

 弱いからこそ人は、時に強くなれるし、強くあらねばならない局面を迎える。望むと望まぬとに関わらず、それは本来弱い人間にとっては過酷とも言えた。


「お見苦しいところをお見せしました。怪我の手当てあてに感謝を……私はゼンシア神聖連邦のスメルの姫巫女、シファナ・エルターシャ。こちらはこの町の治安部のラスティアです」


 改めて二人は、軽く頭を下げた。どうやら違う地球の者同士でも、挨拶の基本は同じらしい。そして、それはこの暗黒大陸でも変わらないようだ。

 今にも食って掛かりそうに鼻息を荒くしてる刹那を手で制し、清次郎が着席を促す。あちらのテーブルに座った四人の会話は、自然とマモルの耳に入ってきた。それどころか、清次郎は二人を手招きし、同席するように言ってくれたのだ。


「マモル君、君も話を聞き給え。歩駆君のことが気になるだろう」

「うん! ありがとう、セイジロウさん」

「こらっ、マモル! 東堂清次郎司令と呼ばんか! 全く、どうしてまたこんな民間人がこの場に」

「ご、ごめん、セツナちゃん」


 話がややこしくなるので、それ以上は刹那は混ぜっ返すのをやめたようだ。だが、ぶすっとふくれっ面になってしまった彼女の、その小さく低い頭の上を言葉が行き来する。


「まず、この場所が……この港町トラヴァスが、ゼンシア神聖連邦という国家に属する地域なのですな? そして、レオス帝国と国境を接して、エネスレイク王国とも近い」


 清次郎の言葉に、シファナもラスティアも頷いた。


「清次郎さん、とおっしゃいましたね? 息子さんが先日の召喚の儀に立ち会って、その後行方不明に……血の繋がりはありませんが、同じ親としてなんと言っていいか」

「ありがとうございます、ラスティアさん。そのお言葉だけで十分です。……なに、殺したって死ぬような奴じゃありません。それに……私の息子で、私はその父親ですから」

「そうですね……すみません、話の腰を折ってしまって。現在、この暗黒大陸は不穏な空気に包まれています。各国の軍事的緊張が高まり、一触即発で……それで海軍も治安部も気が立っていて」


 聞けば、どの国にも規模や機種は違えど、多くの人型機動兵器があるという。そして、それを運用する軍隊同士の戦いは頻発し、国境では小競り合いが絶えないそうだ。

 よどみなく話すラスティアの言葉に、清次郎は重々しくうなずく。

 情報の共有化がなされると同時に、政治的な配慮やリジャスト・グリッターズの今後の方針などに話題が移ったので、たまらずマモルは口を挟んだ。


「あ、あのっ! ごめんなさい、ボク……アルクのことが心配なんです! アルクは」

「アルク、というのは、召喚の儀に連れてこられた少年のことね? レオス帝国のアルズベック太子が、戦士の目をした少年と呼んだ子」

「そうなんですか? アルクは今、どこに……」

「安心してください、とも軽々しくは言えませんが……フィリア王女殿下と一緒にあの場を逃げ出したのです。彼女は公明正大で性根の優しい人ですから、きっと今頃は」


 シファナはそう言って微笑んでくれたが、心なしか顔色が悪い。怪我が気になるのか、やはり包帯の巻かれた腕をしきりに手でさすっている。それが彼女なりの年相応な落ち着きの無さで、姫巫女の顔でいる間も先程のミスリルを気にしているのだとは、流石にマモルも気付けない。


「そういえば……つかぬことをお聞きしますが。シファナさんはスメルの姫巫女、つまりそれは……ゼンシア神聖連邦の宗教的指導者ということでしょうか」

執政官しっせいかんたちへの助言や、民の暮らしを見聞みききして伝える仕事もありますが、そうですね。心のどころ、というのであればいいのですが……なかなか思うようには」

「失礼ながら……比翼ひよくの巫女、という単語を御存知ではないでしょうか?」


 それは、あのジェネシードと名乗る不遜な者たちが告げた言葉。二つの地球の運命に大きく関わる、特異点だと言われたのだ。そして、そのことをマモルは知っていた。わからず理解も及ばぬことを、知識としてだけあの人に……佐々総介サッサソウスケに教えられたのだ。

 そして、シファナの顔が不意に緊張を帯びる。


「どうしてその名を……比翼の巫女とは、この暗黒大陸の古い古い神話、神代かみよの時代の言い伝えです。今は神話や伝承の中にしか名前を見い出せぬ、古の名」


 ついにリジャスト・グリッターズはこの夜、流離さすら彷徨さまよう中で真実の一端いったんつかんだ。ジェネシードのキィが言っていた、比翼の巫女……それはやはり、この惑星"J"にかつて存在したのかもしれない。しかし、それが今はどうなっているかは、まだわからないのだった。

 ただシファナは、比翼の巫女に関わる伝説には日本が深く関わっているという。

 その日本とは……マモルが歩駆といた日本ではなく、だった。

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