第3話 ~后 巫女十~

「巫女十様の特進科の三年B組。身長170cm、体重非公開。バストは100以上。六ノ宮には中等部から在籍。中学時代から開校以来歴代一位の成績を維持。中三では生徒会長を務める」

 この学院は中等部からある。エスカレーターで高等部に入ったのか。

「そんな巫女十様が去年、副会長に立候補したというニュースは中等部にいた私も含め、学院中を騒がせた」

「操ちゃんも中等部出身なんだ」

「巫女十様を追いかけて入学したの!」

 これが『おっかけ』ってやつか。

「会長に立候補したのは同じく成績優秀な巫女十様と同じクラスの島崎リラ先輩。リラ先輩も人気があったから会長になっても周りは納得したけど私は納得できない! 絶対会長には巫女十様がふさわしい!」 

 熱いファンだな。

「他に聞きたい事ある?」

 うーん。思いつかない。

「僕は性格が気になりますね」

 それだ。

「性格はどうなの?」

「それ僕の聞きたい事じゃないですか」

 いいじゃないか。お前、気になっているんだろ。

「巫女十様の性格はもう……」

 もう?

「最高! 誰にでもやさしい! 現に朱火ちゃん、襟直してもらったじゃん!」

「ああ。あれ生徒会の人だからやった訳じゃないんだ」

「もちろん! 普通は気にされないよ。いいな~。明日から襟立てて登校する」

 少しでもきっかけ作る為か。

「まぁ頑張って」

「頑張るよ! まだ会話すらした事無いから!」

 道は遠いな。

 歩きながら話しているうちに教室に着いた。

「じゃあ、荷物取り出したら私のところに来て。もっといっぱい話したいから」

「いいよ」

 もう副会長の事は話さないだろう。

 私は自分の机に行って荷物を机の中に入れると操ちゃんの机へ行った。

 そこで私はチャイムが鳴るまで操ちゃんの『后巫女十がいかに会長にふさわしいか』という演説を永遠と聞いていた。

 ……私もファンにするつもりか?

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