マックスパワーオブラブ!
「フラット!」
あのときのように、ワタシの前にヒメカがシールドとなって構えます。青健神のストロングアタックは、激しいスパークとともにガードされました。
「あはははは! なぜわざわざお荷物を連れてきたのです? こちらとしては好都合ですがね!」
青健神はもちろん、アタックを休むことしません。ますますダークオーラ解き放ち、エネルギーボールのラッシュです。ヒメカは苦しそうにしながらも、パワーワードのアンサーを返します。
「フラットはお荷物なんかじゃありません。オタク代表として、私の勝利を見届けてくれるんですから!」
「ヒーロー気取りですか? 論理的思考の欠如! ああ嘆かわしい! 我が日本の汚れた文化もどきが、外国人に悪影響を与えてしまった!」
「青健神、アナタは間違いです! ニッポンのオタクカルチャー、ワンダフルです! ワタシがニッポンのマンガ、アニメ、ゲームにどれほど救われたでしょう。エブリシング、ワタシのハートを豊かにしてくれました!」
トーキングなど無駄とアンダスタンしても、シャウトせずにいられません。
確かにダーティーなところあります。ハウエバー、泥の中からビューティフルフラワーが生まれることもあるのです!
「ならば、勝ったほうが正義ということに異論はないですね? かああ!」
青健神がハイジャンプして、両手を頭上にかざします。スーパービッグなエネルギーボールが膨れあがり、ワタシたちのところへ落ちてきました。
「くっ……あああああ!」
ヒメカもピュアホワイトオーラをマックスにして、スーパービッグなシールドを広げます。
目と耳がバーストしそうなエクスプロージョン。ヒメカは必死にこらえますが、あまりにも敵のアタックはストロング。あっけなくワタシたちは吹き飛ばされました。
「がっ、は……。フラット、大丈夫、ですか」
「ノープロブレム。ヒメカのガードのおかげです」
見れば、青健神はスローにワタシたちへ近づいています。いつでもキルできる、さような余裕でスマイルしているのです。
「や、やはり……私の命を投げ打たないことには、勝てそうにないですね……」
「ヒメカ、それは……」
「ふふ、大切な者を守るために死ぬ……実はずっと、そんなシチュエーションに憧れていたんですよ。オタクの神として、本望です」
それはノーです! 生きねば!
さように言いたいですが、彼女のハートはもう決まっているようです。
ヒメカはワタシに背を向けて、まっすぐにスタンディングします。
「ヒメカ!」
「見ていてください。御宅大神、最後の姿を!」
太陽のようにヒートします。彼女はライフをパワーにチェンジしているのです。
「あははは! 今さら何をしようとも無駄です! せめておとなしく死ぬがいい!」
青健神もブラックホールのようなマックスダークパワーで、ヒメカをデリートしようとします。
ワタシは彼女のライフをかけたラストアタックを見届けるしかないですか? 他に方法ないですか? 彼女をもっとパワーアップさせる方法は?
そしてナイス、いえベスト考え浮かびました。
「フラット、何を?」
ワタシはヒメカのサイドにスタンディング、手を握ります。彼女のグレイトなゴッドパワーをフィーリングです。
そして、彼女もワタシをフィーリングしてほしいです。
「ヒメカ、ワタシのパワーをプレゼントします」
「え……?」
「言ってくれたではないですか。ワタシはどのニッポン人よりオタクのオーラあると。だからワタシのパワー使ってください!」
「あははは! 何かと思えば、苦しまぎれにもほどがある! たかだか人間のオーラなど何の役に立つというのです」
青健神はワタシをゴミのように思っています。
ハウエバー、ワタシには確信あります。
「ヒメカはオタクの気持ちによりパワーアップします。ならばワタシからダイレクトにその気持ちフィーリングすれば、最強なれます!」
ワタシはブレイブハートで言います。
ヒメカと出会ってからこれまでのこと、この瞬間のためにあったかもしれません。
「ワタシはヒメカラブです。他のオタクがミリオンよりも、ワタシオンリーの気持ちがウィンするでしょう!」
「フラット……」
「はっ、もはやその戯れ言、聞くに堪えません! 消えろ!」
青健神がスペシャルビッグなエネルギーウェーブをショットします。ワタシたちを跡形もなくそうと、それはツナミのような勢いでやってきます。
すぐに、ワタシたちは飲み込まれました。エブリシングさらわれそうなフィーリングです。
その瞬間でも、ワタシはビリーブゴッドでした。ヒメカは決して、オタクの敵には負けません。負けないのです……!
そして。
ワタシはビューティフルなライトを見ました。
最初はベリースモールでしたが、だんだんとビッグになっていきます。
やがてそれは、ワタシの周囲をカバーしました。
まるでヘブンにいるようなフィーリングです。マブシッ! とは思いません。この神がかりライトは、エブリシングヒーリングしてくれるようでした。
気がついたとき、風景は元通りです。
青健神がガクゼンフェイスでスタンディングしています。
そしてワタシの隣には。
「――私はオタクの神。あらゆるオタクたちの理想が詰まった存在。ならばこの展開も、必然だったのかもしれません」
グレイト、ビューティフル、ワンダフル、エクセレント。どんなワードを使っても追いつきません。
ゴッド以上のゴッド、全身がゴールデンに輝くヒメカがいました。
「な、何を言っている……! そのパワーは、いったい何だというのだ?」
「もちろん、フラットがくれたものです。すなわち、愛のパワー!」
「愛で強くなっただと? そ、そんな都合のいいことが……!」
「不思議なことではないでしょう?」
ヒメカはベストスマイルを敵に、そしてワタシに向けます。
「最後に正義が勝つ。そして愛が勝つ。オタクたちが大好きな物語。その結晶が、私なんですから!」
「愛ィィィィィ? 貴様ら汚れたオタクに、そんなものがあるものか! 私は認めなィィィィィ!」
青健神は空中高くフライハイ。そしてメテオのようなハイパービッグダークエネルギーを降らせました。
それと正反対なピュア、ノー! ヘブンホワイトが地上にあります。自分でもよくわからない表現ですがさようなフィーリングです。
彼女は今、このアナザーディメンションをエブリシング塗り替える創造主でした。ヒメカの両手から放たれたオーラは、迫り来るダークメテオを正面から飲み込みます。そのセンターにいる青健神も!
「ち、ちくしょおおおおおおおおお! しかし我が滅びても、第二、第三の青健神があああああ必ずや現れるだろうううううあああ!」
ダンマツマシャウトを上げながら、青健神はヘブンウェーブによってデストロイされました。
「オー、マイ、ガッ」
メニメニリピートしたワードですが、これほどハッピーに言えたことはありませんでした。
すっかりサイレンスなバトルフィールド。元の姿に戻ったラブリーなゴッドがスマイルしています。
「フラット、やっぱり愛は最強ですね」
「ザッツオーライ!」
誰にも知られないゴッドバトルは、さようにワタシだけのメモリーに刻まれたのです。
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