ホワイ?ジャパニーズゴッド!

アライコウ

ディスイズプロローグ!

 オーマイガッ! シーイズガッ! この瞬間のこと絶対一生ネヴァーフォゲットでしょう!


「心配しないで、君のことは必ず守ってみせます!」


 これまさしく伝説の神々のごとくビューティフルな黒髪を波打たせ、彼女はマーメイドのような白い腕をかざします。

 彼女の前には薄いブルースクリーン、すなわちバリアー! 迫り来る爆撃はそれですべてシャットアウト、アイハブネヴァシーン見たこともないスペクタクルです! しかしわずか1ヤードの距離でギラギラする閃光、ドッカンドッカン響く爆音、ワタシの目と耳はバーストしそうと言わざる得ないでしょう。


青健神せいけんしんの名において! 汚れた神よ、エロよ、滅びよ!」


 こちらに向かいさようなことシャウトしながら、ダークオーラに包まれた敵はエネルギーボールの雨をゴンゴン降らせます。それにしてもあやつは浮いています。なんとワンダフルな舞空術ですか?


「ヒメカ、あれはいったいナニヤツ?」

「詳しい話はあとです、今は逃げないと」

「オー、さようなセリフ、リアルで聞くとは思いもよらぬ。しかしどのよにエスケープ?」

「あいつもこんな強烈な攻撃を、ずっと続けられはしないはずです。一瞬、隙ができると思います。私が合図したら、全力で後ろに走って」


 まさにそのとき予言的中爆発ストップ。敵は次のエネルギー溜めるのに、わずかに休むようでした。ワタシの目も耳もバーストしないで済みそうでしょう。


「ゴー!」

「オッケーイ!」


 くるりと背を向け、ふたり揃ってフルパワーダッシュ。オー、ワタシはこんなにスピードあったですか? 今ならオリンピックのメンバーにもなれる気がしてなりません。


「おのれ、逃がすものか!」


 敵はまたシャウトしながら、なんとそのままフライング、ジェットマシンと化してワタシたちを追ってきます。果てなきグレートエスケープの予感、いったいどこまで行くでしょう?


「フラット、そのまま走り続けて」


 ヒメカはワタシと違って、必死にランニングしながらも変わらずビューティフル。しかもオッパイとても揺れまくるです。ガンプク!


「これより何が起こるですか?」

「ま、見ててください」


 ヒメカはもう一度、両腕を前へと突きだします。その両手が激しいスパークに覆われ、ビームが出たかと思うとすぐ前方の空気をカッティング。光オンリーのスペースがグワンと現れたのです。


「飛び込んで!」


 そう言われればそうするしか! ワタシはフルパワーをキープして、真夏のプールに飛び込む気分でハイジャンプ。その一瞬、体がメルト溶けてしまいそうでした。ラーララーラーラーラーラー。ワタシたまらず目を閉じます。

 そのすぐあと、光は消えて体のフィーリングも戻ります。ワタシは活気に満ちたコンクリートジャングルの中にいました。

 あちらこちらに見えるは、愛すべきアニメの看板。ワタシたちふたりが元いた秋葉原の街並みでした。これほどまでに安心したことはかつてないでしょう。

 ところが周りの人々、普通の顔で側を通ります。突然現れたはずのワタシたち、まったく気にされることありません。


「どうやら、続けてあの空間を作ることはできないようですね。再び引っ張り込まれる心配はなさそうです」


 ヒメカはクールフェイスで言います。オッパイもう揺れないは残念ですが、少し汗ばんだ感じがたまらないセクシーです。


「もうピンチないですか?」

「ええ。だけどこの秋葉原は、完全な危険地帯になってしまいました。すぐに離れなければ。どこか落ち着ける場所に行きたいものですが……君の家はどうですか?」


 なんとシンプル、なんとダイタン! 彼女はまるでエロゲーのラストあたりのヒロインでした。しかしさような気になることタブーです。このストーリーは全年齢対象でしかありえません。


「そうするしかないならば、そうするです」


 とにかくワタシたちはすぐさまゴーゴートレイン、ガタンゴトン移動しワタシのマンションまで辿り着きます。女性を招くなどオフコース初めてのことですが、やっと一息つけるようでした。


「実は、私は神なんです」


 ミネラルウォーターを用意し、テーブルで向かい合ったところでヒメカは言いました。ワタシに彼女の言葉を否定する材料はナッシングです。


「アイビリーブ」

「ふふ、理解が早くて助かりますが、驚いたでしょう?」

「オー、サプライズよりハッピー! ニーチェは間違いです。神はここに生きていたのです」

「ありがとう。それじゃ少し長くなりますが、すべてを説明します――」


 何が何だかアイドンノー。

 しかしとにかくワタシ、ただひとつアンダスタンできました。

 このニッポンには神、いわゆるゴッドがいるということです。

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