第2話 できなかったこと1器械体操

 そんなわたしが何故体操などをしようと思ったか。それは極々狭い視野と、とんでもない浅はかな考えからだった。

 当時わたしはバトントワリングを習っていた。バトンの技の一つに、バトンを放り投げている間に転回してバトンをキャッチするというものがあり、それをやってみたかったからだ。つまり、女子の段違い平行棒・平均台・跳馬・床の四種目のうち、床しか見えていなかったのだから、我ながら何ともおめでたいことだ。ちなみに、他の3種目のことは、入部数日後に初めて段違い平行棒と跳馬の練習をしたことでやっと気が付いた。我ながら鈍くさい。


 練習はするものの、やはりそううまくはいかなかった。体力も筋力もなく、何をするにも人の何倍もかかった。体は柔らかかったけれど、それだけだった。

 それでも当初のバトンでの目的は果たすことができた。怖がりながらも三年間辞めずに引退まで続けた。規定演技の最低限の要素すら全部できなかったが、達成感は得られた。けれど、余計に高いところが怖くなってしまった。

 幸い先輩や後輩、同級生に恵まれた。大人になった今でも忘年会が開かれているくらい何世代も仲良しだ。下手くそでもクラブ活動はでも楽しくできたので、今でも感謝している。

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