第3話:フンは持ち帰りましょう
「だいじょーぶ、耳くそは立派な汚物だよっ! 小々奈ちゃん、自信持っていいよー!」
部長さんが、にこにこ笑顔で私の肩をばしんばしんと叩きます。
「は、はい、でも……ウンコとかに比べたら耳くそって全然汚物感ないですし……私、汚物部に入る資格あるのかなあ、なんて」
「ちょっとぉっ!」
突然、大声をあげてモンメ先輩が立ち上がりました。
「いま、アンタなんてった? それウンコが汚いって意味?」
「え、あ、え……?」
戸惑う私にモンメ先輩が詰め寄ります。
「言っとくけど、ウンコは全然汚くないからねっ! 不衛生だけど汚くはないのっ! 味だっておいしいし、煮てよし焼いてよしだし、軽々しく汚物なんて言わないでっ!」
曲がりなりにも『汚物部』なのに、ウンコは汚物でないとする先輩の謎の主張。
「す、すみません……」
よくわからないけど、とりあえず謝りました。
「いいのいいの、スルーしていいの。モンメちゃんはウンコのことになるとすーぐ熱くなっちゃうんだから」
部長さんが、けらけら笑ってモンメ先輩の頭を撫でます。
対するモンメ先輩は、うざったそうに頭を振り振り、
「ゆある部長だってゲロのことになると周りが見えなくなるじゃないですかっ! こないだだって駅でおじさんが吐いてるのを完全に恋する乙女な目で見てて、一緒にいたウチ、すっごく恥ずかしかったんですから!」
「えーっ、あれ全然抑えてたほうだよー? ホントは手ですくって体に塗りたくりたかったんだからー!」
とかとか、ワーワーと言い合う二人をぼーっと見つめていると、ちょんちょんと肩をつつかれました。
「悪いな、なんだかうるさくて。こんなだが、二人とも根はいいヤツだから」
すまなそうに苦笑する吸香先輩に、私は「は、はあ……」と曖昧に頷きます。
そして、
「先輩、あの、ちょっと訊きたいんですが」
「なんだ?」
首を傾げる吸香先輩。ゆら、と揺れる長い髪。
「その……『汚物部』って、結局、なにをする部活なんですか……?」
吸香先輩は、ううんと考えて、言い合う部長さんとモンメ先輩を指差して一言。
「こういうことをする部だ」
「こ、こういうことっ!?」
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