カクヨムのトップページは「新着おすすめレビュー」を最上段に表示してほしい(解決済

村瀬カヲル

カクヨムのトップページは「新着おすすめレビュー」を最上段に表示してほしい


○そもそも何が起こったのか


 8月10日(水)の夕方に、カクヨムのトップページのレイアウトが変更されました。

 それまでトップページで真っ先に目に飛び込んでくるのは「新着おすすめレビュー」で、これは「直近にレビューされた6作品がコメントポップとともに一番目立つ場所に位置される」ものでした。

 その位置が「★200以上の評価を獲得した、10万字以上の作品」をランダムに表示する場所になりました。


 そもそもこの改変が必要だったのか、そしてこの改変がどのような影響を及ぼすのか、少し考えてみたいと思います。


 ちなみに私の立場を最初から表明すれば、私はこの改変に反対です。



○「新着おすすめレビュー」は珍しいピックアップだった


 カクヨムは今年に正式オープンしたばかりの新参小説投稿サイトです。他にも、小説家になろう!、エブリスタ、アルファポリスなどなど小説投稿サイトはたくさんあります。

 どのサイトも多少のレイアウトの違いはあれど、「今更新された小説」及び「ランキング上位の作品」、または「書籍化作品」や「コンテスト入賞作品」をトップページに持ってくるのが大半です。


 カクヨムもトップページにランキング欄と更新小説欄があるのですが、それよりも上に「新着おすすめレビュー」が表示されていました。


 これは私の知る限りで、小説投稿サイトとしては他に類を見ない機能です。

 

 別のサイトでは類似したサービスが見受けられます。

 最も有名なのは、「2ちゃんねる掲示板」の記事の上下の仕組みです。あそこはコメントを書き込むと一番上にその記事がピックアップされます(メール欄に「sage」と入力すれば、ageないこともできます)。

 これにより話題にしたい記事を書込者が押し上げたり、あるいは閲覧者が今話題になっている記事を気まぐれに見られるような仕組みになっているわけです。


 次にその流れを汲んだ表示の仕方をしたのが、動画投稿サイトでした。カクヨムと同様に角川書店も経営に参画しているニコニコ動画もそうなのですが、動画へのコメントがあった作品をピックアップする仕組みがあります。


 これらの流れを汲んで、カクヨムは「新着おすすめレビュー」を敢えて最上位に持ってくることにより、読者達自身で流行の小説を押し上げる仕組みを作ったのか! 面白い流れだ! ……と思っていました。

 けれど、この改変をしたことから、その仕組みを生かす意図は薄かったのかもしれません。



○レビュアーが頑張りたくなるサイト


 先述した通りカクヨムの「新着おすすめレビュー」は小説投稿サイトでは珍しい機能です。

 これまでの小説投稿サイトではレビュアーが日の目を見ることはあまりありませんでした。作品を開いて、前評判から見てみるかーというときの参考にされる程度です。


 それがレビューしたら、その作品が一番目立つ場所に位置されるとなれば、話が全く違ってくるわけです。自分が注目してほしい、良いと思った作品を押し上げられるのです。

 読者の一人一人がカクヨムのレイアウト担当で、レビューのコメントポップを付けて、良い作品を目立つ本棚に配置できたのです。


 レビュアーとしては、レビューのし甲斐を感じるでしょう。

 自分が★の少ない作品に熱烈なレビューを書き込んだら、その作品がトップに表示されて、次々とレビューが付いてヒットしたという経験がある方もいると思います。

 自分の推薦で小説投稿サイトを盛り上げられるのなら、レビュアー冥利に尽きるというものです。



○作品が発掘される可能性あるサイト


 つまりは、カクヨムは作者にとっても、レビューが付けば即座にトップの一番良い位置に表示されて、自分の埋もれている作品が成り上がれる可能性のあるサイトだったのです。


 これは次の作品を書く動機にもなるでしょう。今回プレビューが少ない作品のまま終わっていても、次に優秀な作品を書いたのなら、その伝手で前作も読まれるかもしれないのです。


 人気作品以外は埋もれやすい小説投稿サイトにとって、成り上がりのチャンスが残されているというのは、凡百のプレビューの少ない投稿者にとっての希望であったわけです。

 読者にとっても、見る度にレビュー評価された目新しい作品が飛び込んでくるのは、絶え間ない話題性があるようで、いろんな作品を読んで見る良い切っ掛けとなっていたはずです。

 レビューからクリックして見て、すごく良い作品に出会った経験がきっとあるはずです。



○レビューの楽しみと、発掘の可能性は失われた


 しかし、「新着おすすめレビュー」は一番下に追いやられました。

 長い長いランキングをスクロールあるいはタップして、やっとのこと見つけられる一角に表示されているのみです。

 これではサイトを訪れるたびに毎回その欄を見る読者は減るでしょう。

 

 改変以前からレビューの面白さを知っている人は、敢えて一番下のその欄を見ようとするかもしれません。

 しかし、初めて来た人はこの「新着おすすめレビュー」欄に気付くことすらないのではないでしょうか。


 私が他の小説投稿サイトを見ていて思うのは、ランキングトップをつまみ読みしたら、次に読むべき作品への誘導がないということです。

 「新着おすすめレビュー」はそういう意味で、これ読んでみてー!という導線であり、サイトに常に新しい息吹を運ぶものであり、他の小説投稿サイトにはないカクヨムの良い特性であったと思います。


 作品を見ていても、カクヨムは他サイトに比べて、コメント付きのレビューが付きやすいように見受けられました。レビューが欲しいならカクヨムにおいで!と作者を呼び込める特長を持っていたと思います。



○そして強いものがさらに富み、弱いものは忘れ去られる


 代わりに、一番目立つ場所には「★200以上の評価を獲得した、10万字以上の作品」が表示されるようになりました。

 他のサイトが同じように人気作品がトップに表示されるようにしていますし、これには一定の成果があると思います。

 

 小説投稿サイトに訪れて間もない人を定着させるために最も必要なのは、面白くて読み応えのある作品にすぐに辿り着くようにすることです。

 そのために評価を得ていて、長くて読み応えのある作品を優先表示することは一理あるでしょう。次の書籍化作品候補を一望できることにもなります。

 しかし、それはランキングの欄を見れば事足りることではないでしょうか。これでもか!とサイトを訪れる度に強調する必要は感じません。


 そもそも「★200以上の評価を獲得した、10万字以上の作品」はランキングを見ていけば、すぐに目に留まる作品になっています。

 既に★200の評価を得ていて、ランキング上位ということで、読むべき動機・導線が確保されている作品になっているのです。


 それを敢えて毎日サイトを訪れる度に強調する必要はあるのでしょうか。基本的に表示される作品のラインナップは短期間では変わりません。毎日出入りしていて、同じような顔ぶれの作品ばかり見せられては、何だか変わり映えのしないサイトに見えてしまいます。


 あまりプレビューの得られない作家にとっても、超えられない壁を毎度延々と見せ付けられるようで、モチベーションを上から踏みにじられるような気分になるのではないでしょうか。

  

 

○もちろん仕組みの悪用もあった


 確かに「新着おすすめレビュー」には悪用された経緯もありました。

 

 俗に「★爆」とか言われるもので、ユーザーが面白いと感じなくても★を投稿することにより意図的に特定作品を持ち上げようとするやり方です。


 「相互レビュー」は良くないという意見もありました。カクヨムはレビュー者の顔がすぐ見えます。なので、★をくれた人に対して、義理人情やお互いを称え合うスポーツマンシップの流れで★を返したくなる心理的作用が働きます。

 これにより、作品の面白さよりも交流上手な方が★を多く獲得する面もあったでしょう。純粋な作品自体の面白さの評価が阻害されている側面もあるでしょう。


 しかし、その悪用も見れば分かるものですし、本当に作品が面白くなければ、内輪の人たちによる一部の評価押し上げがあっても、一定以上の評価を得ることは困難であると思います。

 自浄作用が働く範囲だと思いますので、「新着おすすめレビュー」重視による弊害はあっても、だからといって、あんなに下にまで追いやることはないと思うのです。

 


○それでもカクヨムは「新着おすすめレビュー」を大事にしてほしい


 自分の作品にコメント付きレビューが付いて、あの一番目立つ位置に表示されたときの高揚感。

 誰かの作品にコメント付きレビューを書いて、あの一番目立つ位置に飾ったときのワクワク感。


 それらが味わえる宝物を発掘し合うサイトだと思って、このサイトに出入りし続けようと思ったのです。

 トップページがこれではレビューする意欲も落ちてしまいますし、ランキングトップ以外に目が行かない他の小説投稿サイトと変わらない造りになってしまうと思います。

 生のコメントが感じられるサイトだから、カクヨムを特別に感じたのです。


 自分たちでレビューという形で即座に各作品を盛り上げられるからこそ、やっと出来上がった縁やコミュニティもあったと思うのです。

 

 運営さんにお願いです。

 カクヨムのトップページは「新着おすすめレビュー」を最上段に表示して下さい。

  

 どうかカクヨムに芽生えつつあったレビュー文化またはコミュニティについて、その価値を再考して、私たちのレビューすること・されることの楽しみを存続させてください。


 この記事が反響を得るかどうかは分かりませんが、胸のざわめきが止まらないので、書かせてもらいました。お目汚しの嘆願でしたが、もし思うところがあなたにもあれば、賛否問わず書き込んでもらえると幸いです。


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