雪の日

彼はひとり

まつげの先に宿る光り


彼女はひとり

そっと好きな人の名前をつぶやく


彼らはふたり

ただ肩をよせあって

舞い落ちる雪をみていた


のばした手のひらのなかで

雪はすぐに溶けて水になる

悲しみも切ない思いも愛している気持ちも

あっという間に消えていく


それでもここにいる

彼は顔をあげて歩いていく

彼女はペダルを漕ぐ足に力をこめる

二人はもういちどキスをして

暖かいスープを食べに出かける



(2004年)

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