( 10 )
念力が使える、などというと胡散臭いとお思いになるかもしれませんが、私は本当に念力が使えるのです。
えぇ念力というのは、そうです、直には触れずに何か物を動かすことができる摩訶不思議な力のことでございます。
もちろんもちろん、この話が終わったら実際にやってお見せしましょう。私、嘘だけは絶対に申し上げません。何にだって誓いましょう。
話って何かって?そりゃあもちろん、人ってやつらの話です。
まぁお願いですから、一つ最後まで聞いてください。こんな中年の楽しみといえば、こうして誰かと話をすることくらいでございますから。
さて人というのは本当に不思議な生き物です。念力なんかよりもっと不可思議でございます。というのも、やつらは欲しいと思ったものをなんでも手にいれるのです。
いや、私はこれでもけっこう詳しいですよ。一つ君にも人というやつらの歴史を教えてあげましょう。
やつらはまず、火を手にいれました。火があれば熱が使えるんです。
この熱というのがまたすごい、金属を好きな形に変えたり、食べ物の味を変えたりするんでございます。
次に彼らは電気を手にいれました。電気というのはもっとすごい。熱はもちろん、光や力も自由自在に操れる、まさに魔法のような代物なんでございます。
そして電気というのは目に見えないんでございます。本当に面白いですね。
念力と何が関係あるのかって?えぇ、ここまで聞いて分かりませんか。
人というやつらはそれだけすごい力を持ってるんですが、少しだけおバカさんなんでございます。
なぜかってそりゃあ、電気みたいな目には見えない魔法の力があることを自分らは知ってるくせに、宇宙人とか超能力とかっていうある特定の言葉に対して、
「そんなのはあるはずがない。あるなら実際見せてみろ。」
何て言って強く反発するのでございます。いやぁ、バカでしょう?
あんたらだったら、電子やら光線やらを自分の目で見たことあるのかって、そう言ってやりたくはなりませんか?
いや、機械を通せば見えるんだ、なんてやつがいますが、その機械が本当に電子だの光線だのを写している保証なんてどこにあるんですかね。
実は人っていうのは、科学者がこうだと言ったことは無条件に認める面白い連中なんでございます。
え、あぁ話はそんだけですよ。ちょっとこないだ人ってものについて聞きかじったもんでしたから、誰かに話したくて仕方なかっただけなんでございます。
あぁごめんなさいお待たせしました。それでは私の念力をご覧にいれましょう。
ね、ほら。前にある黒い箱に、何もしてないのに絵が浮かんできたでしょう?
テレビのリモコン
まぁほとんどリモコンと関係ない話してるんですけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます