6



「怖かった」 横入りする 「怖かった?」


うん怖かった  知らぬ子は言い










2



魚跳ねた! その目に映る 海の線


私も確(しか)と 日記に書こうね












3


有明の 月の房なる 枝は秋


惜しさに手折る 紅の数珠










4


夏暗夜 短針動き ボンときて


約束終わる A氏の会談










5


黄金の 太陽は夏 帰省する


車窓の子へ まばたきをする














6


花を売る 彼の人も街 ゆく人も


不幸をひとつ 胸へしまい

















7


銀針に 指先血塗る コーラルの


娘盛りの 桜髪留め




(4月)


















8


若葉よ 萌える欅も 麦の穂も


競い背伸びせよ五月晴れの




(5月)

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