短歌記憶帖2

森の 仲間

1




霜グラス 行き交い笑う 合間にも


黙りて聞くは 声ぞなき声




しもぐらす いきかいわらう あいまにも


だまりてきくは こえぞなきこえ






2


中身無し 会話つれづれ ある下に


信じていいの 細き声あり




なかみなし かいわつれづれ あるしたに


しんじていいの ほそきこえあり







3


「疲れてる」 若者の言う セリフには


希望の見えぬ 責の重さよ




つかれてる わかもののいう せりふには


きぼうのみえぬ せきのおもさよ









力なく 夏色知らぬ 寺も見ぬ


京住人 みな俯きぬ




ちからなく なついろしらぬ てらもみぬ


きょうすみびと みなうつむきぬ









信頼を 「誰もいないよ」 探す裏


俺信じろと 推せぬ疚しさ




しんらいを だれもいないよ さがすうら


おれしんじろと おせぬやましさ








酒飲みの 心打ち解け あくる日は


人人避けて 放浪したく



さかのみの こころうちとけ あくるひは


ひとひとさけて ほうろうしたく








7


あの人が こう決めたから そうなった


と言う心の みな弱いこと (弱いこと)




あのひとが こうきめたから そうなった


というこころの みなよわいこと (よわいこと)








8


いっそグズ になろうかしら となるその


生真面目さ疲れ易さ甘え




いっそぐず になろうかしら となるその


きまじめさつかれやすさあまえ


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