時計の聲

@mahirokaede

EP0:大きな古時計の想区


星と共に、それは回る。

自分のしっぽを追いかける犬の如く、それは回る。

自分の足跡を踏み固め、それは回る。

新たな命を呼び、今ある命を奪い、それは回る。



時を司るものが呼び覚ます過去。

よもやそれは不気味と不幸を連れてくる。




「ねーお母さん。あのおじさん、おうちにある写真の人だよね」


「こぉらっ! 指差さないの! 全く。お父さんはあんたが生まれる前におっちんじまっ……」




そこに立つのは死者ではない。

そこに確かに芽吹いたもの。




今日も時計の鐘が鳴る。過去を嘆いて鐘が鳴る。




人々はそれを『時計の聲』と呼んだ。


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