会いたい
会いたい
予定を合わせてください、と頼まれた。AIスピーカーは、それきり、しんと静まっている。
「何の予定を?」
聞くと、スピーカーが答える。
「会う予定です。貴方が、私に会いたいと言ったんですよ?」
「言ってない」
そんな冗談やじゃれあいを、スピーカーとしたことはない。
では誰が?
「私の声が指示したの?」
「貴方の声です。さっき」
室内には私しかいないのに。
ざわざわ、耳鳴りと潮騒のような自分の血流の音が膨らんで、不安を煽る。
スピーカーは沈黙する。
「何に反応したのかな」
身じろぐと、仏壇に背中が当たる。祖父母の家から引き取ったそれに、いつかまた会いたいなと呟いたことを思い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます