ある日の海 ある日の寂寥

私は海に背を向けて立っている

ドアに預けた背中に伝わる

ガタンゴトンという振動を感じながら

じっと


広告を見るふりをしながら

向かいの車窓に映った海を眺めている

青い海は太陽の光を反射して

眩しすぎるから直視してはいけないのだ


私の隣に座っていた

もやしのような男の子が船を漕いでいる

ハッとして居住まいを正す彼の

なんとかわいらしいことか


車窓に映った海を眺めながら横目で彼を見る

彼は私に気付かずうつらうつらとする

そう、ただ、それだけ、それだけ


そんなある日の話

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