第7話
翌週の月曜日。タルい。
ろくすっぽ泳げないから、3、4時間目にある体育。しかも今日から、水泳始まるとか。あり得ないほどにあり得ない。でも、仕方がないなあ。あきらめは早いんだ、私って。
ヤだなーと思いつつ、波の家の前に着いた。高学年になっても、一緒に登校してるの。ちょっと恥ずかしい気もするけど、こんなもんだよね、女の子は。うんうん。
「おはよー。――大丈夫! 持ってる!」
前半は私に。後半は家の中に向かって、波が声を出した。
「おっはよ。なに言ってんの?」
並んで歩き始めて、私は聞いた。
「お父さんが、『水着持ったか~』って。しつこい」
「あー。波の父上、やさしいもんね。そんなふうに面倒見てもらえて、私だったらうれしいけど?」
「最近、私に入り込み過ぎだよ」
「それはわかるかも。でもさ? お母さんの代わりもしてくれてるんだから、感謝しないとじゃないの?」
そう。波のお母さんは、もうこの世にいない。数年前の交通事故のときに、それこそ全身で波を守って。亡くなったんだ。一人っ子の波は、お父さんと2人で暮らしてる。
「そりゃ、まあ……。そうなんだけど」
む~。と言うへの字口に、波はなる。これ以上言うと、傷付けちゃいそうな気がして。私も口をつぐんだ。しばらく、まじめに(?)てくてく歩く。
「あ……」
思い出したように、波が言った。
「ん?」
「プール、どうするんだろ」
それだけで、私もわかった。
「蒼佑、だよね?」
「うん」
――うあああ。またもや、難しい問題にブチ当たったよ。って、私たちがあれこれ言っても、ここまできちゃったらどーしょもないんだけど。
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