第4話
ガコガコと机を動かして。波の班が、教室お掃除の真っ最中。蒼佑も同じ班。私だけ違うので、ジャマにならないように、教室の隅っこで、『すみっコぐらし』の本を読んでる。シャレじゃないよ? でも、なんか入り込めなくて。不自然とは思うけど、蒼佑の姿を目で追ってしまう。
蒼佑は、男の子のわりに小柄で。腕とか指なんか、うらやましいぐらいにほっそりしてる。色白だし、髪も長め。もうちょっと伸ばせば、ボブになるよ。言われてみれば、今までも蒼佑って。口調とか仕草とか、女の子っぽかったかもなあ……。学校に私物はあんま持って来ちゃいけないけど。かわいいキャラもの、好きみたいだし。
ふと、蒼佑と目が合っちゃった。ヘンに思われたかな?
そんな心配はなくて。蒼佑はにこっと笑った。波から事情を聞いてるからかもだけど。それはとっても。
かわいい、かわいい笑顔だった。まぎれもない、女の子の笑顔だったんだ。
蒼佑は、ふと思い浮かんだような表情になると。ちょいちょいと手で、私を呼んだ。近くまで行く。
(千成。お掃除終わったら、ちょっと付き合って)
もしょもしょっと、早口で耳打ちされた。これって……。もしかしてもしかしちゃってますか? なんだか、すっごいドキドキしてきた。
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